まやかしの勝点はいらない J2 第35節 愛媛 vs 岡山

湘南戦、ファジアーノ岡山はようやく自分たちのスタイルというものをつかみ始めました。
相手の状態、フォーメーションのからみなどもありなんと3得点を前半で奪う出来。
これによって、それまでの自分たちのカラを破ったかのように思える内容でしたね。


しかし、サッカーはメタゲームです。


相手の良さを事前にスカウティングし、対策を立てて実戦で実行する。
そういう情報戦の応酬でもあります。
ウチがつかみ始めた良さは相手にとって消さなければならないポイント
ファジがほんとうのファジらしい攻撃を確立するためには、
どんなに対策されてもなお有効なレベルに高める必要があります。
そのために必要なこととは、窮屈な攻めを強いられても決して逃げないでやり続けることしかありません。
ブレてはダメ、逃げてはダメ。本当に強くなるために避けては通れない道を通り抜けていくしかない。
そういう試合でしたね。


<スタメン>

vs愛媛(A)


<結果>

愛媛 1-0 岡山

SH 5-9
CK 4-5
FK 16-15
GK 11-13

得点者 前半40分石井謙伍


◎理想を捨てたバルバリッチが仕掛けるミラーマッチ


愛媛は13試合勝ちなしで、ここ5試合無得点と極度の不振に陥っていました。
前節をみるに、チームはバラバラでどうにもできない暗いムードに包まれており、なんとしてもその流れを断ち切りたいところでした。どこのチームでもそうだけど、勝てないってのはマジつらいね・・・
そこで、バルバリッチはこのワンマッチを獲るためにポゼッションを捨て、カウンターを軸にした上、フォーメーションをマッチアップさせることでファジのつかみかけている良さを消す手に出てきました。


では逆に湘南戦で見せたファジの攻撃とはどんなものか?
詳しくはゼロファジ放送第5回放送 湘南戦徹底分析! (http://goo.gl/84SRK)※firefox推奨
で取り上げましたのでざっくりというと、


1.DFラインとボランチからタテパスを打ち込む
2.シャドーが降りてきて、相手ボランチを外して繋ぐ
3.その間に浮いたWBもしくはCBが前を向いてボールを持つ
4.そこからサイドの裏やライン間に配給しフィニッシュに持ち込む



と、だいたいこんな流れです。
ここで大事なのは1.2.のところで、シャドーがいい形で繋ぎに降りてくること、
そして2.3.のところで、誰かが「浮いて」前を向くこと
この2点。これが出来なければ攻撃のスイッチが入らずシュートまで持ち込めないメカニズムになってます。


そこでバルバリッチは、
ミラーマッチをしかけ各所でマッチアップさせることでこちらの選手が「浮かない」状態を作り出しました。
その上、5-2-3のブロックでインサイドを厳しく締めることでタテパスを遮断することを狙ってきた。

ファジは序盤こそ、「浮いた」右CBの篠原を起点に裏へ入ったり、ブロック間にはいったり湘南戦と同じような攻撃を展開することが出来たものの、愛媛が浮くシノに激しく相手シャドーをチェイシングさせることで修正したために「浮く」選手を持てなくなります。ちょっと分かりづらいので図を出しましょう。
前半4分のシーンですが、場面はリスタートからで、
レン(リスタート)→千明→シノ→サワ→シノ→ケンゴというふうにボールが動きました。

              シノ起点


サワは相手の左WBとガチマッチアップですから「浮き」ません。
それによりシノが押上げるしか、右でボールを落ち着かせられない。
サワからシノへバックパスの間に、相手の守備が押上げる。そして、WBの裏へケンゴが抜け出し、シノの浮玉のパスが通った、というシーンですね。
シノはやはりパスにいいところがある選手でまだまだミスが多いですが、このように出し手としてまずまず役割を果たしていると思います。このシーン結果的には千明のミドルが外れるというカタチで終わりました。
愛媛は、この浮いたシノが良くないということで、シャドーをシノにしっかりつけるよう修正。
これによりファジは、
ボールを落ち着かせるポイントがなくなってしまいなかなかシュートまで持ち込めなくなります。


◎敵ながら天晴れ。ワンチャンスを生かした伊東


この試合両者守備において隙がなく、お互いに攻めあぐんで決定機を作れない試合になったんですが、
この選手にはやられました・・・・愛媛のシャドー伊東俊。
それまで、ほとんど点のニオイのしない愛媛だったんですが前半唯一このシーンだけはやられましたね;
前半40分、愛媛の左サイドから右サイドへのサイドチェンジのシーンです。


              愛媛のサイドチェンジ

左WB前野から中央伊東へサイドチェンジですが・・・・なんだよ・・そのがらがらのスペースは;
伊東は中央ガラ空きなのを見つけ前野に要求し、バイタルで前を向くことに成功。
あわててレンがチェックに行きます。
右サイドでは、右WB石井が大外を回りつつ裏を取ろうと前進を開始していました。

              視線のミス

その直後のシーンを拡大してみました。
伊東はレンが来てるのを察知し、左足から右足に持ち替えてラストパスの体勢を整えると同時にレンを振り切って自分の空間・時間を作ってしまいました。これはほんとうまい。敵ながら天晴れですね。
レンはダッシュしてカバーにいったものの、伊東がドリブルを止めて切り替えたので外されちゃった。でもこれはしゃーないかな。伊東の前へいく勢い止めないと、ドリブル・シュートありますからね。
大事なのは田所の目線です。
黄線のところが田所の見ていた範囲ですが、伊東しか見れませんでしたね。
これによって、田所の背中を取った石井の位置はまったく分からない状態になってしまった。
伊東がボールを収めてしまったので、あわてて「伊東から目を離して」背中を伊東へ向け石井を見てしまう。
その瞬間、田所の内側を通すスルーパスを通され、石井に押し込まれ失点と。
なんのことはない。バックステップ入れて間接視野(見える範囲の端っこのボヤっとしたとこ)にオレンジを収めればどってことのないシーンでした。


しかしながら、サッカーはミスが2つ3つ重なるとやっぱ失点に繋がるもので。
なぜに中央あんなにドフリーにしちゃうのか?
レンはどうして伊東についていけなかったか?
田所の視線のミスはどうして起こったか?
などなどこちらの不手際がこうも重なったらやっぱやられちゃうわなぁ。
しかしながら、この伊東という選手は再三高い位置でボールを収め、高いテクニックでこちらの守備を悩ませていました。非常によい選手ですね。うちにもこういう一人でも相手の逆をとれるシャドーがもう一人ほしい・・・


◎5-4-1ブロックへ挑むぶつかり稽古


ファジの場合いつもそうですが、この試合も先制点がどっちに入るか?
それこそが最も重要な要素だったと思うんですね。
愛媛は極度の得点力不足に陥っていましたし、うちは1試合平均失点が1を切ります。
つまり2点はまず取られない。なので1点を争うゲームになるだろうということは容易に想像できる試合でした。
前半はその先制点をいかにして奪うか?というテーマならば、後半はドン引きの相手にどうチャレンジして崩すか?というテーマ。

残念ながら先制点は愛媛に入ってしまった。これにより愛媛はもう分かりやすく5-4-1のブロックつくり、徹底的に入ってきたボールをはじき返し逃げ切る策に出てきます。


               ぶつかり稽古


愛媛は1トップの有田を残し引いてますから、ボールは圧倒的に持てました。
なので、そこから5-4のライン間へぼっこぼこタテパスを通して打開をはかるファジでしたが、
まるでもぐらたたきのように入ってくるボールを潰し、跳ね返すオレンジの壁を崩すことはかなわず。

中央での打開は難しいということで、
Jリーグデビューとなった田中奏一を右WBに(タナソーおめでとう!)、石原を左WBに持ってきてサイドからタテへの突破から打開する手に出ますが、この日は石原の出来はイマイチ;
トラップが流れたりしてドリブルしようか迷っているうちに詰められたりと思うように突破できませんでした。

この日デビューしたタナソー、初めて見ましたがなにこれめっちゃいいクロスあげるやないか・・!
特に、スピードに乗ってタテに突破しつつそのままクロスをあげきるプレーが実に上手い。
ケガでデビューが遅れましたが、かなり計算できる選手なんじゃないかな?と思います。
サワだとタテの突破は望めないので、右サイドの突破力というところで違ったカラーをチームにもたらせる選手ですね!今節では結果には繋がりませんでしたが、継続して試合に出て行けばいずれ成果を残してくれると思います。


◎ほんとうに強くなるために


ということで、中央のタテパスははじき返され、サイドも抑えられそのまま逃げ切られてしまって敗戦と。
ファジサポにとってみたら、POを狙える圏内にとどまるにはここだけは絶対落とせない試合を落としてしまった試合になってしまい・・・・非常に悔しい試合でしたね;

しかし、負け試合は特にその内容こそが重要だと思うんですよ。
勝った試合がすべて良いわけではなく、負けた試合がすべて悪いわけではない。
自分も録画を見るまでは悔しい気持ちでいっぱいでしたが、録画をみてむしろほっとしました。


だってさ、ここで自分たちが掴みかけているものを、
諦めてブレてしまっては本当の実力など身につかないだろうと思うんです。
仮にこの試合、自分たちのやり方を放棄して2点とって勝ったとしてそれで「成長」といえるのかどうか。
まあどんな試合でも勝ちきるメンタリティという部分では評価できるってのはもちろんありますし大事ですが、ここへきてようやく仕上げの段階にこぎつけたのに目先の勝点欲しさに変節するというならば自分は納得できなかっただろうなと思います。・・・・そういうまやかしの勝点なんていらないんだよ。
どのみちこのサッカーやってりゃいつかはこういう対策に出てこられるのは明らかなんだし。それが早いか遅いかの問題だろうと。それなら早く壁にブチ当たったほうがいいに決まってる。


そういう意味では、ウチの選手そしてなにより監督が、この試合逃げずに難しいテーマにブチ当たり続けたことはとても大きいことだと思ってます。こうやって強くなってきたんだし、このヤマを乗り越えたらいよいよ本格的なチームにファジは化けると断言できる。是非ともこのチャレンジを続けて、今季のうちにいけるところまで行ってほしいと思います。

POは遠ざかり悔しい。そりゃホンネですよ。
けれども、POにいけるチームはあわよくばJ1でもやらせてもよいチームであるべきと考えます。
そのためにはしっかりとした攻守のバランスが必要です。
ウチは守備だけで行けばそういう資格を有しています。なんせ2位?3位?の失点数ですからね。
10段階評価で9点くらいあげてもいい。
ところが攻撃は3か4程度で、それを今6くらいまで押上げようと挑戦している。
それでいいと思う。間違ってないと思う。いつか、攻守ともにしっかりとした実力をつけたファジを見たい。
そのときこそPO圏内に入るにふさわしいチームになる時だと思ってます。下を向いてる場合じゃないね!
のこり7試合でどこまでいけるか?ファジの成長をしっかり見届けて行きたいですね!


【告知】
9月30日vs富山戦 
ゼロファジ放送初の試みで音声実況やります! 大切な同期ダービー、現地へいけない方、仕事などで中継見れない方をサポートできるようにがんばりマース。


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