ファジのサウスポーはひとあじちがうぜ  J2 第13節 岡山 vs 山形 (1)

「GW最後のお休み、見ている皆さんに思い出に残るようないいゲームを期待したいですね」


スカパー!で実況を担当されたRSKの川崎さんの試合開始前のコメントでしたが、
まるでなにかの予言であったかのように思える一言でありました。
これまでしぶとい守備でスコアの動きが少ない試合を丁寧に戦ってきたファジアーノ、その戦いぶりからすればトータルスコア4-3、前半だけで3-2という壮絶な打ち合いになることなど予想できようはずがない!
11000人を越える人が詰め掛けたカンスタ、後々まで語られることになりそうな非常に印象深い一戦でしたね。


<スタメン>


vs山形(H)


<結果>

vs山形(H)結果


◎守備戦術の狙いがハマり山形ペースの前半


GW連戦もこれで最後。1分を挟んで2勝と調子のいい山形をホームに迎えたこの試合。
スタッツを見れば一目瞭然ですが、シュート21本・コーナー17本と数字だけ見てたら何故これで勝てたのか不思議になりますな・・。現地で見ていても非常に苦しい空気を90分耐えるようなきっついゲームでした。
前後半を通じて山形が主導権を握り、ファジはそれに耐えながら少ないチャンスを生かしていく。
そのような構図で展開された試合だったなぁと思います。


山形は、神戸や栃木がそうしたように、まずボランチに自由を与えないことを基本線に前からのプレッシャーをかけてファジのビルドアップを揺さぶり、こちらにロングボールを蹴らせるように仕向けてくる。
この試合のファジの前線3枚は押谷・石原・関戸と、ハイボールで勝負ができそうな選手は関戸しかいない。
ってことはつまり、ファジがロングボールを蹴れば山形の守備の勝ち
なのでファジとしてはつなぎ倒してビルドしていくか、長いボールを蹴るにせよ工夫をしなければ攻撃そのものが成り立たない。つなぎ倒すったって鍵となるボランチは自由にさせてもらいづらく、得意のサイドチェンジはほとんど出せない窮状にある。これまでいいようにやられてきた4-4-2のチームも、ここへ来てファジ対策が完全に浸透してきた感がありますね。
ということでフィジカルに優れる山形が制空権を取り、ボールを支配した前半でしたね。


◎山形のクロス戦術のキーマン2人


とはいっても、山形の攻撃が苛烈でファジが守備が混乱をきたす展開だったのか?というとそうではない。
山形もショートパスをつないでいくそぶりを見せてはいたけれど、ぶっちゃけファジの守備組織を破綻させるようなものはなかった。
しかし、2TOPの一角に入った長身FW林と、正確なキックを持つ左SB中村、この2人の存在がかなりやっかいでした。山形はサイドの高い位置でボールを持つと、積極的にクロスを放り込んできましたが、ターゲットとして林がいるのでシンプルでしたが迫力がありましたね。
おまけに、クロスを止めようとしてCKがバンバン取れるので宮阪・中村の高精度プレースキックが何度も何度も何度も何度も繰り返されて・・・・いやーあんまり思い出したくないね。
前半の2失点はCKからの一発と、林の高さ+中村のクロスのあわせ技を廣瀬がすばらしいミドルで叩き込んだもの。かなり不安定さを見せ始めたCKでのゾーンディフェンスはテコ入れが必要だと思いますが、この2失点に関しては力技で決められちゃった印象で、それ以外おおむね守備で問題はないと見てます。


◎田所が演出するサイドアタックの妙味


この日前半で奪った3ゴールはすべてファジの左サイドアタックからでした。
この試合の主役はなんと言っても田所諒しかいないでしょう!120点だよ!まじですごい!
以前、札幌戦でちょろっと左サイドアタックにおける変化がチームの攻撃の幅を生み出していると書きましたが、それがはっきりとでまくったのがこの試合の前半でしたね。この3ゴールほんとにクオリティが高くって、もう何度も何度も見ちゃったんですが、何故左から3点を取れたのか?
それは左角のスペースにフリーマンを送り込めたからです。


3得点中出色だった3点目のサワのヘッドを導いた一連の流れを取り上げて、ひとつづつチェックしていきましょう。


竹田イリアン忠嗣

展開は、植田のあたりでボールを取って島田→タダシとつないだところ。
黒丸のところ、ボランチ2枚のいるエリアは例によってプレッシャーがきつくなかなか前を向けません。
なので千明・島田と展開力があるはずのダブルボランチが足を振りぬいてフィードしていく形をなかなか作れない。山形の守備の狙いはここでは成功しているわけですね。島田がやむなくバックパスをしているわけですから。

ところが・・・
ウチのフィード役はダブルボランチだけではない!
そう、ウチには困ったときの竹田"イリアン"忠嗣がリベロにいるのだ!
これは山形さんわかっちゃいたけど、気を抜いてしまいましたね。
タダシはケータへのパスコースを切られた事、ボランチが密集地帯にいて受けられる状態ではないことを察すると、ワンドリブル入れてルックアップ。自分でゲームを作る路線に発想を切り替えます。
このあたりの柔軟性が、竹田忠嗣の強みでありファジにとっての保険である
竹田が目をつけたのは一番高い位置にいた田所。ここへ高精度のフィードが送られます。
(あ、ちなみに"左角のスペース"とはこの赤い四角のエリアです)


普通はバックパス・・

さて田所が収めました。ところが相手のSBが背後にチェックに来てますから、田所は進行方向を背にして自陣ゴール方面で受けることを余儀なくされました。
ここでとっても大事なのが、これまでの田所だったら普通どうしてたか?


ほぼ100%バックパスでしょう。(黒点線のように)
ところが、田所が収めたのを見るや否や石原が猛然と赤色の角へダッシュを開始してるんですよ。
っても田所後ろ向いてるんだよ?マジか?ってシーンです。

恐らくその動きを間接視野で見ていたこともあるでしょうが、田所は機転を利かして左へターンしながら浮玉をスペースへ出します(黒曲線)。
田所からタテパスが出た、さああとはスペース一直線。かけっこ勝負なら石原の土俵だ!


                  WS000000_20130507184629.jpg


田所の浮玉のタテパスがややショートだったので、秋葉に体を寄せられコケそうになりながらも何とかボールをキープした石原。この試合の石原のパフォーマンスは今季最高の出来で、最近見られた迷いもなく判断がとても良かったですね。おまけに体格的に劣勢なのによく倒れずにボールを収めてくれたり、守備でも快足で大いにチームを助けていました。タドがいなけりゃMOMは石原でもよかったくらいだよほんと。


さあ、満を持して石原が角を奪って100パーセントの状態でクロスを上げられる体勢が整った。
問題はどこに挙げるか?誰に合わせるのか?それだけだ。
ここでさらに秀逸だったのが押谷のゴール前での動き
ペナにはボールから逃げるように入っていき、それによりCBの視界から消え(CBはボールを持ってる石原見てる)クロスが上がりそうなタイミングでCBの前に出てニアに来てもさわれるようにした素晴らしい走りこみ。
この動きのせいで、CB2枚ともニアに寄せられてしまう。その背後には・・・・サワがドフリー!
そこへドンピシャのクロスが上がり、サワのヘッドで3点目!
記念すべき150試合出場のゲーム、久々のスタメン出場で取った嬉しいゴール。
いやーー完璧じゃない?このゴール。


ボランチの機能不全を補うタダシのロングフィード。
あのスペースへ出すはずだという石原のフリーラン、それに応えた田所の機転の利いたタテパス。
クロスを上げるときの石原の冷静さ、押谷の秀逸な駆け引き。クロスをしっかり叩きこんだサワのヘッド。
サッカーではいいプレーが2つくらい続くと得点になることがありますが、どこをとっても各人のいいプレーばかり。そりゃ点はいるわな・・・・っていう。
でもやっぱり、この3点目のキモは何か?といえば、
田所のところで展開が停滞しないこと、左サイドが機能して前への推進力を生んだこと
これに尽きる。
田所の成長がそのまま攻撃力に加算された、そんな印象を強く受けた前半でした。


ふう、ずいぶん長くなりましたので後半についてとまとめは(2)で。


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