祝おう!ふたつの”ダブル”を J2 第23節 岡山 vs 栃木

ミニキャンプを挟んで始まったJ2リーグ後半戦。
キャンプでどのようなことに取り組んだのか、その内容自体はわかりませんが、
前節そして今節を見る限りしっかりと前半戦の課題を浮き彫りにし、勝ちきる意識の高さをゲームで表現することができつつあるなと感じております。
負けないファジアーノ、でも勝てもしないファジアーノ。
名誉でも不名誉でもないこの中途半端な立ち位置からさらに踏み越えて勝つチームへ。
後半戦初めてのホームゲーム。迎える相手は宿敵栃木SC、どんな順位だろうが関係ないとにかくこのチームだけは叩いて欲しい。個人的にはそういう気持ちのこもる同期ダービーでした。


<結果>


statsvs栃木(H)


<スタメン>


vs栃木(H)


◎前後半の流れを振り返って


ともに昇格を目指すチーム同士、順位的にも4位と8位の対戦。
勝点差が詰まっている今季ですので、ちょっとした取りこぼしですぐに順位が落ちてしまう状況で迎えたこの試合。
前半ははっきりいうと、ほとんどファジの攻撃練習に近い一方的な展開に終始し、セットプレーの2発に流れからの3発目と、なにこれやりたい放題じゃないか(笑)という楽勝な前半になってしまいました。
栃木というと守備が堅いイメージで、早いカウンターがある印象ですが、攻守ともに見所ある内容になっておらずぶっちゃけここ数年見た中で最も弱かったですね。攻撃は前々からたいしたチームじゃないですが、守備がちょっと無策すぎて前半3-0になってしまうのも納得という感じ。あえていえば、立場はいつしか逆転してしまったなと。


後半3-0からのスタートで、栃木が仕切りなおして攻守ともにテコいれをはかってきました。
決定機の数に大きな差がありましたので、ブラジルvsドイツではないですが4点目5点目をとって完全に沈黙させられなかったファジの課題は・・・・うーんまだまだですね。後半変えてきたとはいえ、ウッズが慌てるシーンもほとんどなく、攻撃を受け止めてカウンターという勝ってるチームの上から目線のサッカーをやって突き放したかった。
そこの課題は残りましたが、最後まで足の止まらぬファジアーノらしさはしっかりと表現されていましたし、前節の内容を受けてさらに勢いの出せる連勝となった点はほんとすばらしい!夏の連戦の初戦をしっかり取ることが出来ました。


◎何故栃木をサンドバック状態に追い込めたのか?


さてこの試合、セットプレイで2点、そして流れから1点で3-0と、前半で試合が決まってしまった試合でした。
セットプレーからもう少し取りたい、ということで練習を積んできたファジですが早速結果が出て、なんかめっちゃいい感じの流れを呼び込めとるわあ・・・・
相変わらず上田康太の神業FKは垂涎モノの精度ですし、合わせる側がうまくボールにあわせていければ今後も点は取れていくだろうなと感じさせてくれる2得点でした。
とはいえ、セットプレーだけがよかったわけでもなく攻めあぐねているわけでもなかったこの試合の前半。
栃木がシュート1本打つのに35分を要したのと対照的に、決定機をいくつか含むシュートをボコボコ打ち込んでいたファジ。まさに栃木をサンドバック状態にできていたわけですが、その理由にはミスマッチを生かすフォメ上の噛み合わせの悪さに対する栃木の無策さが大きい影響を及ぼしていたと思います。
そのへんをちょっと見ていきましょう。
あ、そうそうファジの3421だと442で守るにはけっこう工夫しなきゃならんのですね、例えば讃岐の6バックとかいい例で。442のままで守ろうとすると上手く行かない場合こうなっちゃうわな、というのが出ていたと思います。


◎ファジのタテパスを遮断できない栃木の守備


いれほうだい


この試合、後方からボールを繋ぐファジに対してハーフウェイラインくらいの高さに2トップを置きその後方に4-4の2ラインを引いてブロックを作る栃木が守る、という構図で進んだ時間が多かった前半でしたね。
栃木の前線は前から来ないので、こちらの3CBに加え、なんとボランチ2枚まで栃木のブロックの前であれば前を向くことが許されていました。余談ですが、前任の松田監督のときはボランチには徹底的にマークを貼り付けられていたんですよね。それで上手く攻撃できず詰んだのが2013の2敗でした。
後ろの5枚が前を向いてボールを扱えるので、タテパス入れ放題です。つまり出し手のほうの条件はオールクリア。となれば、出し手OK+受け手OK=パス成功!の方程式が成り立つのであるからして、問題は受け手がOKになるかどうか?になってきます。


ふむ、出し手に制限をかけにいかないのであれば、受け手の方を制限するしかないよな・・・
相手は出し手OKには目をつぶるから、受け手OKだけは阻止して上記のタテパス方程式を崩してくるのか・・・・?


ボランチ→シャドーへの経路を見てみると・・・・


入れ放題2


あかん、全然受け手OKや!!(笑)
シャドーは相手のボランチとCBの間で浮いてボールを呼び込みますから、これを制限するためにはこのシーンでは康太-えーちゃんのパスコースの線上に位置どってタテパスのコースを塞ぎ通せんぼする必要があります。
これにはシャドーの位置の確認(首振って事前にえーちゃんを見ておく)とか、CBからのコーチングなどなんかしらの工夫がなくして適切な塞ぎ方が出来ない。
さて、シャドーに対してしっかりとマークすることが出来ていないことはわかった。
それでは中でシャドーにボールを呼び込まれるとどうなるのか?


大草原


この試合の栃木の守備はかなりボールウォッチャーになるシーンが散見されていたのですが、多分守備の仕方については新しい監督の下整備中というところなのでしょう。シャドーにボールが入ると、そこに注目が集まりますが、いい位置でフリーにするわけにはいかないので、ブロックが少し縮んで狭くなってきます。
ってそうなると、見ての通りで・・・・・WBの前には腹いっぱいのかけっこスペースが・・・・・受け手OK再び。
いやー、これはハマっとるわ。ボールを奪う場所がどこにもないもの。
他所のチームがミム相手に2枚確保したい、という中でこれはいただけないでしょう。
前半はファジの右サイドからの攻略が多かったのでこのようなシーンはタナソーがよく演出していましたね(だったら絵も右でやればよかったのにとここで気づく等)
この試合、タナソーのクロスがかなり上がっており、しかも点になっても全くおかしくない素晴らしいボールばかりでした。
惜しむらくはそこからズドンですが、そこはちょっともったいなかったですね。


◎頭脳的思いやり系シャドーと化した妹尾隆佑を見よう


この試合で3点目を決めた妹尾。自分は2011からしか見ていないので、かつて岡山の期待を一身に背負っていたキレキレドリブラーであったころの彼ってまったく見てないんですよね。聞くところによるといまのミムのような感じだという方もおられて、そりゃ相当だったんだなあとちょっと悔しいです。
お話をさせていただくファジサポさんの中にはやはりそのころのイメージを元に彼について語られる方が多いんですが、できれば今のちょっとわかりにくくなったけど頭脳的思いやり系シャドーとしてとってもめんどくせえ選手になってしまってる妹尾隆佑も見てあげて欲しいと、僭越ながら思うことがあります。
今の妹尾の素晴らしいなと感じるところは、もとからあったドリブルからくるキープ力、そしてなんといっても空いてくるスペースを読んで位置どる頭脳的な動き出し。そしてサイドやボランチへパスコースを提供するためのこまめなフォローの勤勉さです。展開が詰まらないようにと気配りが出来る、チームの攻撃の潤滑油のような存在となっており、彼の代わりはいません。(石原はなりうるけどタイプがちょい違うしね)
この試合でもタナソーの躍動に繋がっていた要因には、右のシャドーに妹尾が配置されていたからと言ってもよいのではないか?と思います。キレキレのドリブルで何人もぬいちゃって・・・というのは今は残念ながら望めませんが、その代わりによい場所でよい形でボールを受けることが出来ることはチームにとって負けず劣らない貢献度だと思うのです。
もし、彼が試合中ボランチからボールを引き出したり、WBの突破を助けるシーンを見かけたならば大いに喜んで拍手してあげて欲しいなと思います。間違いなく相手は(うわ、妹尾めんどくせぇ・・・・)って思ってるはずなので(笑)


◎この試合の前半と、カマタマ戦を見比べる


ということでここまで妹尾愛の余談を挟んで、栃木が442で守る上での難しさについて1例ですが見てきました。
上手く伝わったかわかりませんが、4バックでファジのボール回しをストップするにはやはり工夫が必要なんだなということですね。ファジはロングボールを蹴りませんから、繋ぎをいかにストップするかが守備のメインテーマとなりますが、そのあたりの工夫が栃木にはなかった。まあ過渡期なのでしょう、またやっかいな相手にいずれなってくるとは思いますが。


上で例示したように、
栃木は前から来ない→出し手OKは諦める
栃木は受け手をつかめない→受け手OK

うん、これではさすがに厳しい。後半前からプレスをかけ、出し手OKのところをなんとかしようとしてきましたが、すでに3失点ではさすがにキツい。栃木は計算のミスに対して高い代償を支払うことになったと結論付けられても仕方ないでしょう。
ところで、ファジのパスワークがあれほどに流れたのはこの点に尽きるわけですが、例えばこないだのカマタマ戦はどうだったでしょうか?あのときのカマタマ北野監督による6バックの絵をもう一度貼ってみましょう。


6バッ


カマタマはスタートポジションは4141で、そこから守備時に6121に変化していましたね。
前線の木島なんかはこちらの最終ラインにプレッシャーを与えていましたが、基本的には後ろに6枚割いてるので、ファジが落ち着いて回せばいなせてしまいます。つまり、栃木戦と同じようにファジの後ろの選手は"出し手"OKってわけだ。
そして前線に目を向けてみれば、こちらの5トップに対し6枚そろえていますから1人1殺でもまだ1枚余ることになりますから、受け手は"not OK"になってしまうと。
こうしてしまえば、攻撃力はかなり落ちますがすくなくともマークがズレてファジの選手が浮いたりすることはありえない。
ファジの前線は常にプレッシャーをかけられた状態でのプレーを強いられ攻めあぐねると・・・。
ファジがミラーマッチが苦手というその原因の大部分はここにあるんですよね。
すげえ攻めにくい、"浮けない"から。
そういう意味では、栃木とするとかつては手も足も出ない守備を展開してファジを沈黙させていただけにもったいないなあと。最終ラインの統率もとれておらず、何度もラインブレイクを許してましたし3点目もスローインのフワっとした気抜け+統率を欠いたラインによるオフサイド崩れをえーちゃんにやられた形でした。どうなんだろう、やはり監督が代わるとその辺もなかなかチームのメモリーもリセットされちゃうんだろうかなあ?ということを思いました。


◎電柱大久保大作戦を阻止せよ!~パワープレーに対する守備の見所


このゲームでしたい話としては最後になりますが、この試合の後半途中から栃木は攻撃がうまくいかないので、大久保を投入してかなりの長い時間パワープレーに出てきましたね。
この長身選手をターゲットとした、ロングボールをつかったパワープレー。たまに試合でみかけますよね?
相手がこういう攻撃に出てきた場合、まず焦点になるのが長身FWvsCB陣の空中戦です。
瀬沼に代わって大久保が出てきて、やっと栃木は攻撃のとっかかりをつかんだわけですが、ここには見所と影さんの交代采配の意図が絡んで面白い展開になっていましたのでその話をしておきます。


ちなみに大久保は身長190cmという大型CFです。
で、栃木としては空中戦に勝って攻撃の起点が欲しいと。そこの勝率を上げるためにはどうするか?というと、
空中戦に強くないところを大久保に狙わせるということになります。
身長が高くない相手、ヘッドが苦手な相手、こういうやつに電柱をブツけて競り勝つパーセンテージを上げれば、よりよい繋ぎができるってわけですね。
ではこの電柱大久保大作戦を迎え撃つかっこうとなるファジのCB陣はどうか?


・後藤圭太 183cm ・田所諒 175cm ・久木田紳吾 180cm


うん、そら田所だよね。だって身長差が15cmもあるもの。体格もどっしりした重量級の大久保と中量級の田所では仮に田所がヘッドがめっちゃ上手くても競り合いも含めると分が悪すぎるわな。
ちなみに今季ファジの自陣での空中戦の勝率は4割5分くらいだったと思いますが、要は半分以上ハイボール負けとるんですな。まあでも田所を最終ラインに置いているメリットのほうがデカいので収支はあってますが(3点目なんてまさに)。
さて、大久保の投入が後半17分、そしてその1分後近藤徹志が投入されます


・近藤徹志 187cm


左WBをミム→タドに代え、大久保のターゲット役からタドを開放し一列あげる。
そしてテツを左CBに収めて、大久保190cmvs187cmのテツとぶつけさせようと。
なんか怪獣大戦争みたいだね(笑)
ところが、相手も考えている。テツやケータとむりくり戦わなくても180cmのクッキー(しかも手負い)ならば電柱大久保大作戦が破綻することはない、ということでクッキーのサイドに大久保が陣取りそこでボコボコボールを落とし始めます。
リードが3点だったので大丈夫でしたが、これはかなりやっかいでした。
影さんはクッキーを少しガマンして、後半36分にクッキーに代え植田龍仁朗を投入。


・植田龍仁朗 188cm


左CBをテツ→龍仁朗で、右CBクッキー→テツへとチェンジ。
この電柱大久保大作戦を封鎖するべくギネス級のヘッドの力を追加!
これでいまや懐かしさすらある、ケータ・テツ・龍の岡山山脈再び
龍仁朗を使って高さのギャップを解消して、栃木の最後の頼みの綱である大久保を消してやろうということですね。
こっそりと追加された最終ラインのやらかし感。いや、何も言うまい・・・それもエンターテイメントかもしれないし(汗)


この交代で大久保の相手は主にテツが務めることになり、次第に大久保がキレイにボールを落とす回数が減っていよいよ栃木の攻め手がなくなりつつあっただけに・・・・あの失点はいただけなかったですね。
と、このようにパワープレーに出てくる相手には高さのギャップに注目してみると面白いかもしれません。


◎祝おう!7.26ふたつのダブルを


この日はJFLを戦うネクスはvsヴァンラーレ八戸戦、トップはvs栃木SC戦ということでダブルヘッダーでした。
なかなか、ホームで勝てない両チームだったのでこの2つの舞台で、ダブルヘッダーで、そろって勝つということが実現できないでいましたが、ついにこの日が来ましたね!トップ・ネクスのそろい踏みのダブル!
そして、宿敵栃木SCには昨年喰らった2タテのお返しをする2014ダブル達成です!
(ダブル=ホーム・アウェイでともに勝つこと)

ネクスにしてもトップにしても、まだまだ納得できない前半戦でしたからよいスタートができてほんとによかったと思います。
夏はファジの底力で相手をねじ伏せて、両者ともにさらに上を目指したい。ひとまずは、この2勝を喜んで次の試合を楽しみにしたいと思います。いこういこう、まだまだ良くなれる!


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COMMENT 2

かぴばら  2014, 07. 30 [Wed] 14:41

チームの成長

コメントするのは初めてですが、いつも興味深く読ませて頂いています。
中々勝てなかったチームが、年々選手起用や戦術の選択肢の幅が増え、見所も増えている事を嬉しく思っています。またお会いしましょう!

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ZeroFagi  2014, 08. 15 [Fri] 00:53

Re: チームの成長

>かぴばらさん


返事が遅くなりすみません;
先日はどうもでした!またお会いしていろんなお話が出来ればとおもっております。
例の件については、またあらためてご連絡させてくださいね。

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