勇気をもってボールを運び! J2 第26節 岡山 vs 湘南 (1)

強い!本っ当にしんどい!


ある意味エポックメイキングなチームであり、記録的な進撃を続ける首位湘南を迎えての第26節。
台風の影響により、ダブルヘッダーのうちネクスvsレノファ山口の試合が延期となってしまったこの日。開催自体も危ぶまれた中で迎えたナイトゲームですが、なんとか夜には回復してくれて試合前にはキレイな虹。
心配されたピッチコンディションも良好で、風の影響もさほどでもなしと。
なるたけいい条件でこの大一番をやらせてあげたいと願っていたので、台風が過ぎた直後としたらこれ以上望めないであろうコンディションで迎えることが出来ました。


いやー、それにしてもね。なんなのあの緊張感!
開始直後から試合終了まで、体のどっかが固まってしまうような緊迫感。アップテンポでスリリングなゲーム。
サッカーなんて点が入らないからつまんないなんて誰が言った!?これを見てもそういえますか?ってな具合に、スコアレスなのになんともいえない疲れと、満足感にあふれたしびれる試合でしたね!!
順位的に言えば首位と4位の試合ですから、むぅ・・・ドローかあという向きもあるでしょうが・・・
いやいや、
個人的にはこの湘南少なくとも2011からホームで見たチームの中ではたぶん最強だと思います。
ほんとうに素晴らしいチーム。そこにドローなんてちっとも恥ずかしいことじゃないと思います。
むしろ勇気あふれる試合をしてくれたファジアーノを讃えたい気持ちで一杯でしたもん。



ということで、早速前半・後半に分けてこの試合を振り返っていきましょう。
今回は割と時間があるので、じっくりと出来ると思いますので多分長くなるでしょうがよろしければお付き合いくださいませ。


<結果>


vs湘南(H)stats


<スタメン>


vs湘南(H)


◎試合の前に押さえておきたいこと


早速前半の内容を、という前にさらに伝わりやすくなるようにこの試合を考えるにあたって押さえておきたいことの話からはじめて見たいと思います。まず、最初に確認したいところは両チームともに運動量豊富な走るチームであるということ。そして、同じ3421のフォーメーションのチームであるということです。
同じ3421ということはお分かりのようにミラーゲームですから、ファジの最も苦手な試合ですね。
ディテールをみるとそりゃいろんな違いも出てくるんですが、おおまかに言えば非常に似たタイプのチームで、ファジを二回りほど強くしたのが湘南みたいな感じでしょうか。


前回対戦時はファジのドン底期であったこともあり、湘南どうこうというよりもとりあえず自分たちの建て直しに苦心しなければならなかったのであんま参考になりませんが、今は違います。ちゃんと4位でいられるだけの結果と内容を示し、この試合を迎えていますから、首位の湘南に真っ向からぶつかってファジの現在地点をはかるモノサシになりうる試合でもありました。・・・・しかし、これには条件があります。
ファジが自らの方法論を曲げあくまで湘南の良さを消し潰すことを徹底してはぐらかしたならば(ようは湘南の土俵に入らなければ)自分たちのスタイル・信じてやってきたことがどの程度通じるのかはかることはできないわけで、こちらも自分たちの良さを押し通していくことが条件でした。
そしてそれをやってほしかった。
相手がグーならあえてこっちもグーで。
ここでヒラリとパーで交わすことも出来なくはないでしょうが、ガチでぶつかっていかなければほんとのところはわかんないと思うからです。湘南のプレスは激しいですよ。そして速い。それをかいくぐってボールを運ぶのは相当に難しいミッションです。でもそこをくぐりぬけなければファジのお先も知れている。
「湘南のスタイルは縦へ縦へウチは縦がダメなら揺さぶっていく形。相手の特徴を出させないようにしながら自分たちの強みを出せるようにしたい」と影さんが言っていましたが、まさにその狙いにかなり近い展開にすることが出来、ファジのほうが狙いどおりに試合を進めることができた前半だったと思います。


◎カマタマの振る舞いを思い出してみる


もういっこだけ遠回りをさせてください。
この試合の前半を見ていて脳裏をよぎった試合が先日のホームカマタマ戦でした。この試合を引き合いに出したほうがこのファジアーノの勇気ある前半の戦いぶりが際立つと思うのでちょっと触れておきます。
さて、カマタマといえば北野監督ですよ。
先ほどファジと湘南は似たチームといいました。ハードワークがベースにあり、プレスは激しく、遅攻でも安定して攻撃が出来ます。そしてセットプレイでも得点できると。こういう手合いに最もやってはならないことは中盤での繋ぎでボロを出すことにほかなりません。下手に攻撃に色気出してつないでみて、お粗末なボールロストしたならば格好のショートカウンターの餌食になってしまうのがオチです。そこで、策士北野監督はロングボールを攻撃のベースに据え、中盤で不用意なボールロストをする可能性自体を制限してきましたね。
湘南はおそらく日本一縦に早い攻撃力をもっています。
そこへいくと、コチラがつまんないミスなどで中盤でボールを失ったならばそりゃ格好の大好物をむざむざと差し出すことになりかねない。それほどに、湘南相手に繋ぐということは危険で難しい仕事だということを強調しておきたい。ぶっちゃけると、久保を立たせて放り込み中盤を省略してしまえば湘南が中盤でボールを奪う機会自体がなくなりますから、リーズナブルなわけですよ。つまりこれがパーを出すってこと。カマタマの取ってきた策ですな。
でもそこに未来はないっていうね。自分たちの越えたい山じゃない。
(誤解のないように言っておくと、あの時点での北野監督の策は妙手でした)


◎湘南の怖さはどこにあるのか?


さて、それでは前半の内容に入っていきましょう。
まず結論から先に言ってしまうと、ファジ果敢に虎穴に入り、虎子までは得ずとも手ごたえを得たり。
というところでしょうか。繰り返し述べてきたように、湘南のきっついプレスに決してひるむことなく繋いでいくことにトライし、成功した回数は少なかったですがクロスやシュートにこぎつけることが出来たのは大変大きな収穫と言えます。グーで行ってくれ!と思っていたところに、予想以上にグーで行って、けっこうやれたのでほんとに嬉しかった。
だってね・・・2011シーズンくらいを思い出してご覧なさいな。最終ラインで繋ぐことすらままならずイリアンに怒られ、もうええわ!ワシがやるわ!とばかりにイリアンが持ち出して配球してたのが3年前ですよ。
2012シーズンですら、人と人の間にボールを入れていくことが出来ずにもっと勇気もってトライしよーぜ!とヤキモキしていたファジなのに・・・・・。この湘南相手にビビらず繋ぎ、一回だけだけどキレイにつなぎきって左サイドを攻略しかける一歩寸前まで行けた。いや、ほんとにこれは勇気あふれることだと思う。


前フリの答えにもなる湘南の怖さ-守備と攻撃がシームレスに繋がる縦への速さを見ていきます。
ここがこのチームの最も恐ろしいところであり、またゲームに緊張感をもたらす面白さの部分だと思います。
前半7分くらいのシーン。ボールがセンターサークルを挟んで両陣を行きかいまだどちらボールになると確定してない状態でした。そこから、湘南の右CB遠藤から右WB藤田へというパスを左WBの鋭くアタックしボールを奪いかける。もうちょいで奪えそうでしたがボールはこぼれて・・・・湘南のボランチ岩尾へ流れ着いた瞬間でした。

しょうなんはやすぎわろた

岩尾は迷いなくウェリントンへのタテパスを選択し(無論ワンタッチで)、
一気に崩しの局面へと流れ込んでいきます。
クッソはえええ!

そして、ウェリントンの落としをフォローしていたシャドーの武富が拾ってドリブルで時間を作る。
そのわずかな時間で他の選手が一気呵成にスピードアップし、結局どうなったかというと・・・・

ひとおおすぎわろた

7枚ですよ!7枚(笑)多いって!多すぎるって!
と、時間を作らせるとあっという間にゴール前までボールを運ばれてしまいそこに周囲の選手が殺到してくると。
これは生で見ていて非常に怖かったです。どこで失っても火がついたように攻撃を仕掛けられ、ファジの選手は下がりながらの守備を強いられてしまいますから。
他所と明らかに違うなーと思う点でもう一個大きいのが、局面において”運ぶ”ドリブルを選択するシーンがとても多いことだと思いました。湘南とはいえ、スピードダウンしてしまえばウチが0になんとか抑えたようにまだ守れないことはないんですよね。怖いのはあのスピードなんだけれど、このチームホントに運ぶドリブルの量と質が高いなと。日本のサッカーってパスありきで、フリーでボール受けた選手の十中八九が頭の中「パス・・・パス・・・」ってなっちゃう。
前にスペースがあって自分で持ち出したって全然いいのに、パスありきの考え方になってしまう。
けれども、湘南はパスとドリブルの比率が近くってちょっと持ち出せそうならワンドリ・ツードリとすいすい持ち上がってしまう。そうして縦へのスピードをつけながら同時に時間を作っていくので、周囲も上がっていけるんだろうと。
この岩尾のタテパスにようなエグいのが中盤でボールを失うと出てきちゃうんですよ。
そら繋ぐほうは怖いよ・・・・ミスにせよ奪われるにせよ相手ボールになったらすぐ戻りながらの守備しなきゃならなくなるんだもの。
湘南相手に繋ぐとはそういうことなんですよね。


◎「ファジのゆりかご」から好機をうかがう攻撃


これに対してファジは左右にボールを動かしながら相手のスキをうかがってそこを突いていく。
ファジアーノの得意なボールの動かし方ですが、これを自分はファジのゆりかごと呼ぶことにしました。
前半11分のシーン。


ゆりかご1

スローインでタナソー→えーちゃん→タナソー→クッキー→ケータ。
ボールは大きく弧を描きながら右から左の田所へと運ばれていきます。


ゆりかご2

ほんの一瞬ですが湘南の菊池のプレスが外れ、田所のところが空きそうだ・・・とみるや、
石原が僅かに空いたギャップへ飛び込み、ボールを受ける。マジで素晴らしい!さすが石原。
石原はムリをせず、ワンタッチではたき田所に落とすと、今度は田所が完全に前を向いて状況を確認できる時間ができました。しかし、田所の前にあまりよいパスコースがなくすぐさま菊池大が二度追いでプレスに来る。


ゆりかご3

いやーこのへんが石原のよさだよなあと実感するんですが、落とした後石原は今度は外へ開いて田所にパスコースを提供するべく動きなおしをします。これに釣られシャドーの石原⇔右WBの藤田とマッチアップのギャップが生まれてる。
藤田が石原に行ってしまうとミラーゲームなので、ミムは誰も見れません。おまけに・・・・
意識的に高い位置を維持していた康太に対してはマークが曖昧になっていて、ここでもフリー!
千明と横並びより、タテ関係で前にいたほうがボールを受けられそうだという康太の判断が奏功していたシーンだと思います。もちろん裏腹で、康太が前にいる分切り替わって湘南ボールになったとき、おいていかれ千明一人でフィルターを務めなければならないリスクはありましたが。
この後左ではこれ以上前にはいけそうにないということで、田所まで戻し、再びゆりかご開始。左から右へ。

ゆりかご4

田所→ケータ→タナソー、というところでこんどはえーちゃんが相手ボランチの脇でいい形で受けることに成功!
まさにゆりかごのように左右にゆさぶって、空いてるところに入っていく。狙いを湘南相手にでもしっかりと出せていることがわかる一連のシーンでした。結局このシーンでも途中までうまくいっているけれど、外してさらにチャンスを拡大するにはやっぱもう少し足りない。それは個で一枚ついてても引っぺがすことであったり、それこそ湘南のようにホルダーが失わないのであれば、そこに近づいてフォローしていくことであったり。もう少し攻撃に芯を通すには必要なのかな?とも思う前半の攻撃でしたね。


◎双方決定機を欠いた前半、ボールの循環を考える


前半0-0のスコアレスで終了することになりました。シュート数は湘南のほうが多く、ファジはクロスもシュートもなかなか到達できない難しい展開でしたが、そもそも湘南の相手に難しいことやろうってんだから妥当っちゃ妥当。取り上げたように湘南の縦の速さはハンパじゃなく、攻め立てられることが多かったですが、ある意味こういう結果ですんでいるのはウチのハードワークもなかなかのものだからってことだと思うんですよね。
ぼーっと突っ立ってるチームならもっとボコボコに蹂躙されて終わり、ってなってもまったく不思議じゃない。
だって26試合で54点取ってるチームだよ?1試合平均得点2.07とか意味がわからん(笑)守備はもっと意味わからんけど。
この前半、「勇気をもってボールを運びクロスかシュートで攻撃を終えること」のうち「勇気をもってボールを運び」の部分はしっかりと表現できていた。これはほんと感動しました。
いやーそれにしても生で見ていると緊張感が尋常じゃなかった(笑)
録画で見ると、ウチもけっこう落ち着いて出来てるんですけどね、生で見てるときはほんとに湘南の怖さばっかり印象付けられてドキドキしっぱなしでした。どなたかがおっしゃってましたが、「ガンバや神戸のときはうまいって思ったけど、湘南は怖いって思った」っていうのがほんとそれ!って感じで。でもすげー面白い前半でした。
さて、前半の締めとしてボールの循環の話しをして終わりたいと思います。


サッカーでは自軍と相手とボールが行きかいながら試合が転がっていきますが、その視点から見てこの試合の前半は同であったのか?というお話。まずは、簡単なボールの循環の図を作ってみました。


ぼーるのじゅんかん

自分たちがボールを保持(=攻撃)→ミスや相手の守備でボールをロストする
→相手ボールになる(=守備)→ミスや守備でボールを回収する

サッカーではこのサイクルでぐるぐるボールが回るわけですが、
いわゆる攻守の切り替え(=トランジション)の部分においてこの両者はJ2でも速いもの同士です。
ボールを失った瞬間に守備が始まりますから素早く頭も体も攻撃→守備に切り替える。(ネガティブトランジション)
ボールを回収した瞬間に攻撃が始まるので、素早く頭も体も守備→攻撃に切り替える。(ポジティブトランジション)


湘南はポジトラもネガトラもどちらもハイレベルなので、これだけの得失点差を生み首位を独走してるんだろうと思いますが、ファジが真っ向勝負で湘南の土俵に入ってきた割にはうまくいってなかったと思います。この前半は特にね。
というのも、えーちゃんがこういってますが、
●片山瑛一選手(岡山):
「互いの、取って切り替えてというのが本当に出た、いいゲームだったと思う。その中でイージーなパスミス、不用意なパスやプレーが多く目立ったので、それで相手に押し込められるシーンがあったと思います。」

というように、湘南のプレスの網にかかってほらきた!って具合に湘南がボールを奪えるシーンってそんななくてですね、むしろ上記のようにルーズボールのどっちに転ぶか不確定な状況やこちらの単純なパスミスから湘南のポジトラの良さが出て~ってシーンがほとんどなんですよね。つまり、湘南に思ったとおりのボール奪取をさせない繋ぎが出来ていたってことだろうと。
その証拠に、あれだけ考える時間のない厳しい湘南のプレスがあるのにファジの選手が出しどころを迷って考えるシーンや、おたおたしてるところを奪われるシーンがほとんどないんですよね。
常にボールを逃がす場所があって、流れを切らないように動かせる位置取りが出来ていたので湘南のプレスに絡め取られることがなかったと。「勇気をもってボールを運び、クロスやシュートで攻撃を終えること」が出来れば湘南のポジトラのよさ出すところ0ですから最高なんですが、そこまでいけなかった割には悪くない感じだったなあと。


ところが、問題はこちらのポジトラの部分。いかにして湘南からボールを取り上げるのか?
これはほんとうにほんとうに難しかった。後半なんてさらに難しくなってしまった・・・
湘南の選手たちはほんとにミスが少なく、ボールをなくさないのでクロスやシュートまで手が届いてしまう。
ファジとしては高い位置はムリで、結局引いて湘南に攻めさせ攻撃が終わったところで回収することしか出来ませんでした。前半は狙い通りに進めたのはファジだと思いますが、優勢だったのは湘南。
攻撃は得点の父ですが、守備はその攻撃の母であるってことを痛感させられる展開でしたね。
個人的にもこんだけ勝点とるチームはこうです。ウチとの差はこんだけあります。
というところをまざまざと見せつけられて唸るしかなかったですが、それはウチにとっては成果であったなと。
ほんとチャレンジしなければわからないことがわかった試合でしたね。



●片山瑛一選手(岡山):「湘南と今日戦って、あのプレッシャーの中で普通に出来てこそ高いレベルになれることがわかって、その環境をトレーニングの中で自分たちで作っていきたいと思いました」



ほんとそういうことよなぁ。ということで後半に続きます。



ファジについてのご質問があれば、素人考えに過ぎませんができるだけ出来る範囲でお答えします。
よろしければ質問くださいませ。質問はコチラから→ask.fm/ZeroFagi


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