J2第20節 vs讃岐戦レビュー 『3バック脇をめぐる攻防』 

今年で3年目を迎えた瀬戸大橋ダービー。





ファジアーノの前節はクラブ記録の4連勝をかけて復調の兆しが見える金沢に挑みましたがドロー。
次節は徐々に順位を上げてきているビッグクラブ清水との対戦ということでここは絶対に落としたくない試合でした。
一方のカマタマーレ、いまのところ13位と中位をキープしていますがここのところは3連敗。
対戦成績の良い瀬戸大橋ダービーで勝利をもぎ取り、連敗をストップしたかったところでしょう。
毎年試合後ゲームからはなれた話題で燃え上がるダービーになってきていますが、そのままじゃもったいない。
北野監督はJ2屈指の知将。現有の戦力で効率よく相手の弱点をつくことに長けた監督です。
その采配の手腕については最初の対戦時から確かなものを示していて当ブログでも取りあげてきたとおりです。
それゆえにダービーということに加えて、北野カマタマが「どうウチを料理してくるか?」が実に楽しみな対戦でもあります。





ゲストレビュワーシリーズ、
第一弾のゲストはトルコイデス@ファジ(@torukoidesu_fa)!






このブログにはたびたび登場してもらっているトルキーですが、彼も北野を名将と評価するレビュワーのひとりで、カマタマーレのサッカーも断続的にフォローしているファジサポです。讃岐のことも知っている彼こそこの試合のレビューをお願いするにもっともふさわしいだろうということで今回登場していただきました。前回同様レビューに補足を加えて編集し、記事にまとめました。
さあ、それでは試合を振り返ってこのダービーをもう一度楽しみましょー。






<スタッツ>





20節スコア

20節スタッツ






<順位表>






20節順位1
20節順位2







<フォーメーション>







20節フォメ





<ハイライト>










◎讃岐のサッカーはどんなサッカー?




(以下、トルコイデス@ファジ)
この試合、両チームともに3-5-2という同じシステムを取りましたがその中身には違いが見られました。
ですので、今回は各チームの3-5-2の運用方法と狙いをベースに書いていきます。
讃岐は今までメインに使ってきた4-3-3(4-1-4-1)から3-5-2にシステム変更をして臨んできました。
この変更により変わっていないところと変わったところが見受けられたのでまずそこから。
まず変わっていないところですが、これは讃岐のコンセプト・プレーの判断基準に関するところです。


讃岐のサッカーはどんなサッカーなのか?というと、
讃岐は4-3-3においても今回の3-5-2(3142)においてもスペースを意識したサッカーをします。
「攻撃時にスペースをつくり、使う」これが讃岐のコンセプトです。またプレーの判断基準もこれに沿ったもので各選手は各選手の動きによって出来たスペースを認知しそこに入っていったりまたそこにパスを送ったりといったことを選手全員が意識しています。
実際の試合のシーンを例に挙げてみると22:40のシーン。
左サイドからのクロスを高木選手が落とし、我那覇選手がシュートするもブロックされたシーンでした。




讃岐ビルド


スタートは左CBのエブソン選手がボールを持っているところから。
ここでの各選手の立ち位置を説明しておくとアンカーの山本選手はウチの2トップの周辺にポジションを取ることでファジのFWが左CBへプレスに出るのを牽制し、左WB仲間選手はやや下がった位置を取っています。




3バック脇と右ズレ強制



ここで左CBから左WBにボールが出ます。すると、これに対してウチの右WBタナソーが対応に出ます。
WBが前に出ると3バックの泣き所である”3バック脇”がさらけ出されます。WBによるWBの釣りだしですね。
それを見越してインサイドハーフ(IH)の馬場がタナソーの裏へ流れて3バック脇を活用します。
こうなってくるとファジも3バック脇を放置できませんから、この馬場のサイド流れにファジの右CB澤口が右にズレて対応せざるを得なくなります。



疑似442と大外WB



こうなってくるとファジのCB-CB間にスペースが生じます。
そうなれば讃岐のCFがそこの間にポジションを取り、それに応じてウチのCB, CB, WBが順にスライドしていきます。
(このとき讃岐のもう一人のCF, IHもウチの守備陣の間に入っていく)
そうなるとウチの左WBの外側で讃岐の右WBがフリーになれます。よって、この場面でボールサイドの逆サイドの左WB片山は自身の前のIH高木, 自身の外の右WB西の二人を意識せざるを得えない状況になります。数的不利。
このような状況だと最初のCB-CB間にしろ、最終ラインの各選手間にしろ、逆サイドのWBのとこにせよどこかでかなり高い確率でスペースが生じやすくなります。ここではCFの動きに釣られてボールサイドに引っ張られたサイドCBとWBのポジショニングが気になり外にややひきつけられたWBの間に出来たスペースを讃岐のIH高木に狙われました。
図を見てみるとよくわかりますが、ファジは実質4バックで守っているような格好になっていて、それに対して讃岐が2トップ2インサイドハーフ1WBで計5枚で攻撃する形になります。ファジの最終ラインは4枚ですが、枚数的に足りないのでうまく守れなかったとき誰も味方のカバーにいけません。このシーンでも高木のフリックを我那覇がシュートした結果ブロックされましたが、流れるようにシュートまで打てており讃岐の目論見は成功しています。この試合で讃岐はこの形を基本的に繰り返し狙っていました。
これはウチの守備に修正が加えられたあとも同様で、62:04のシーンなんかもこれに近いです。


IH張り出し



馬場すげえ


この辺りの時間帯では讃岐はサイドに流れるIHによってウチのWBを釣りだしそれによって出来るWB-CB間を頻繁に狙っていました。
と、このように讃岐の各選手はそのスペースが生じた場所(換言すれば最も点につながりやすい場所)がどこかを認知し、そこをチーム全体で共有し狙っていくということを4-3-3のときと変わらずやっていました。





◎352の採用でいつもと違った讃岐





次にいつもの讃岐とは変わっていたところについて。これは構造的な部分が大きく関係しています。
今回讃岐は3-5-2を採用したわけですが守備時にも3-5-2の形を保って出来るだけ前線でボールを奪おうといったことをしていました。これは同じ3-5-2を採用しているウチとはかなり大きな違いと言えるでしょう。
ウチは基本的に守備時は5-3-2でセットしてサイドにボールが出ればWBが一つ前に出て対応(高い位置ではIHがサイドに出て対応)をします。
今回の讃岐がやってきた守備時にも3-5-2を保ち、高い位置でボールを奪おうといった守り方自体はネガトラ時のウチの守備上の問題やビルドの練度を考えても有効な策の一つであることは否定できないのですが、リスクがやや高かったのではと個人的には思います。このリスクの取り方がいつもの讃岐とはちょっと違ったかなと感じました。
実際この守備のやり方によって出来る弱点をウチは上手く狙うことが出来、チャンスも多くつくれていました。
その弱点というのは勿論3バック脇(WB裏)です。
ウチのWBがまず3バック脇を埋め5バック化するのとは違い讃岐のWBは上記のように高い位置を取ります。
つまり3バックのまま。なので3バック脇はあいたままの状態です。
そこをウチは上手く狙うことが出来ていました。これについてはあとの岡山についてのところで詳しく述べたいと思います。ここを狙ってチャンスを多くつくっていたウチに対して讃岐も後半に入るときに勿論やや修正はしました。それはボールサイドのWBは変わらず高い位置を取らせたままで、ボールサイドの逆サイドのWBは下がり目のポジションを取らせるようなことも所々でしてはいましたがあまり有効とは言えませんでした。後ほど詳しく説明しますが、結果として讃岐のこの3-5-2による守備は大きな弱点を抱え、ウチに多くのチャンスを与えることとなりました。



簡単にまとめておきますと・・・
今回の3-5-2へのシステム変更には讃岐のスペースを意識した(プレーの判断基準においた)プレーをするという4-3-3時からのチームとしての一貫性と守備時の3-5-2を保ち高い位置でボールを奪うといったことに付随する高いリスクといった違いがありました。






◎讃岐の弱点を効果的に突けたファジアーノ





次に岡山について。
讃岐についてのところで触れた部分については省略します。
ここで言及するのは主に讃岐の守備のやり方に対するウチの狙いについてです。先ほど述べたように讃岐の守備のやり方で弱点となってくるのは3バック脇のスペース。ウチはそこを狙うことでゴールの確率が高くなる攻撃をすることが出来ていました。讃岐はこうなってますというのを図で例示すると、17:58のシーン。




3バック脇




前半右のスペースをうまくファジが使えたのが33:41のシーン。





33分



シーンはゴールキックから。
これを赤嶺選手が落とし押谷選手がボールを左サイドでおさめることが出来ました。
当然のごとく讃岐のCB脇はあいているので逆サイド(右サイド)のCB脇にもスペースがあります。



オッシーキープ



余談ですが、この試合ファジの選手のセカンドボールに対する意識の高さがよくでているのもこのシーン。
押谷選手がボールをキープしてボールを失うことがない事を確認すると同時に、中盤とサイドの選手がスペースにいっせいに前進をはじめていることがわかります。これに対し意識の鈍い讃岐はファジの選手の後姿を追う格好になってしまう。




脇到着



そこに走りこむ田中選手に押谷選手はボールを送り、田中選手にはある程度のスペース(余裕)が与えられました。
得点にはなりませんでしたがこれも大きなチャンスだった場面。





前半もっともファジが美しい攻撃を披露してくれたのは40:08からの一連の攻撃のシーン。
起点と崩しに讃岐の弱点を活用する手厳しい攻撃で、押谷選手のボレーシュートに結び付けました。





サイド展開




ここでは左サイドで伊藤選手から3バック脇で押谷選手がボールを受け起点になるところから始まります。
ここで起点になることで高い位置に送られたボールを抑えるために讃岐の選手はいっせいに帰陣しますが、それに反して矢島選手低い位置で止まっているので自動的にフリーになることができました。
また左サイドに起点を一回つくったことで、最終ラインのアラン-岡村-エブソンの距離感を横に引き延ばす効果もアリ。





3バック圧縮





その結果、前線の赤嶺選手(引き延ばされたCB-CB間にいる)に精度の高いボールが送られ、良い落としをして受けた島田選手がCB脇でフリーの田中選手へボールを送ります。ここで余裕が与えられた田中選手は良いクロスを逆サイドのCBの後ろにいる押谷選手へ送ることが出来ました。この場面では3バック脇で田中選手が受けることで讃岐CBはエブソンをプレスに行かせければならず、そのことで中にはスペースが生まれるというシーンでした。




再利用




これらの例に示したようにウチは讃岐の今回の守備のやり方に付随する弱点である3バック脇のスペースを上手く活用することで多くのチャンスをつくりだすことが出来ていました。この3バック脇のスペースについては讃岐の方も弱点となるということは予め理解しているようでした。それは讃岐の最終ラインと2ndライン間で受けようとするウチの選手に対して讃岐のCB陣が強く当たってくることから見受けられました。
ここでボールを受けられるとこれまでに述べたように、3バック脇のスペースを非常にまずい状態(CBの目の前でボールを受けられCB脇に出されるとCBが対応せざるを得ない。これは構造的な問題)で使われることになり、ウチのゴールの確率を高めてしまうためここではとくに強く当たっているように見受けられました。讃岐はこの3バック脇のスペースを残してしまうというリスクはありながらもCB陣が強く当たることでそれをカバーし、前線でボールを取るということを狙っていたのでしょう。





今回の瀬戸大橋ダービーは両チームの狙いがはっきりと見え、すごく面白い試合でした。次のCスタでの瀬戸大橋ダービーもこういった両チームのせめぎ合いがより高いレベルで見られるのが楽しみとなりました。長くなりましたが以上です、ありがとうございました。






ということで、今回の瀬戸大橋ダービーのレビューはトルコイデス@ファジ君にお願いしました。
トルキー、いつも非常に興味深いレビューをありがとう!





最後に、ゼロファジ的にコメントしておきたいことについてつけ足して終わりにしたいと思います。
まず、この試合を見て思ったのはあいかわらずこのチームはボールの捨て方が上手いなということ。
ボールを捨てるというのは、つまり攻撃を終わって相手ボールになるということです。そのマネジメント。
平面での細かいつなぎをやればミスも増え、インターセプトも増えますからカウンターを受けやすくなってしまいます。
しかし、このチームはそういうリスクをうまく回避しながらも攻撃が成立するような手はずを必ず整えてくるんですよね。
で、北野カマタマとやるときにいつも思うのが、なかなか思うようにボールを奪わせてくれないなぁと。
カマタマは攻撃の終わらせ方が悪くならない攻撃をいつもしかけてくるので、こちらがいい形で奪ってカウンターという形になかなか持ち込ませてくれないんですよね。ボール回収して攻めようとすると昨季のような固い守備がベースにあるので困ったなあ・・・
という具合。ただ今回はトルキーの指摘どおりかなりリスキーな守備に挑戦していたぶんこちらは攻撃がやりやすかったなと。
無論、北野誠がそのリスクについて関知してないなんてありえませんから、目をつぶっても・・・ということなのでしょう。
あと、この試合で自分が目を奪われたのが馬場選手ですね。湘南・水戸時代はあんまり注意してみてこなかったんですが、この試合のシーンをいろいろすくって見ると実にクレバーで攻撃も守備も先が読めるいい選手だなあと思いました。
ウチでいえば伊藤大介なんかに通じるような盤面が読めるタイプの選手で、徳島の木村選手に続いて驚かされました。
派手じゃないんですが周囲をしっかり見て、使って、動けるっていう、いるとほんと助かる選手たちですね。
前半の西の決定機を決められているとおそらく5バック化して守備を固め、さらにこじ開けにくい守備でリードを守られかねない展開になっていたと思いますので、やっぱウチのGKは神。
MOMは中林洋次で異論はないんじゃないか?と思います。



それにしても、ようやくこの勝利で星が五分になりました。(5戦2勝2敗1分)
瀬戸大橋ダービーも3年目、次で6回目の対戦となりますね。



次回ダービー



真夏のナイターになりますが、お盆ですしきっと多くのお客さんがくる熱い試合となるはず。
さて次はどのような手筋でウチを破りにくるのか?策士北野率いるカマタマーレを楽しみにしたいと思います。





ファジについてのご質問があれば、素人考えに過ぎませんができるだけ出来る範囲でお答えします。
よろしければ質問くださいませ。質問はコチラから→ask.fm/ZeroFagi


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