J2第31節 vs山口戦 レビュー 『ラストスパート まず一勝』

天皇杯のため一時中断していたJ2リーグが再開されました。
前節矢島復帰後の試合でありましたがよいところなく千葉にボコボコにされたファジアーノ岡山でありました。
天皇杯では松江、札幌と2連勝して出番の少ない選手の活躍もありみっともない敗戦後の空気感はいくらかまぎれた印象。
しかし、大事なのはリーグです。4位ですから。リーグですよ。
残り試合はもうすでに12試合しかありません。
勝たないやつが落ちるだけという熾烈な昇格レースを生き残らないといけません。
大事な試合の相手は、こちらも天皇杯連勝で乗り込んできたレノファ山口(7位)。
開幕戦で見た彼らの実力はホンモノでした。
リアル事情で長らくCスタ参戦できておりませんでしたが、レノファ山口との『セルフダービー』は外せない!
ということで実に4ヶ月ぶりの生観戦となりました。
うん。



やっぱ、Cスタ1万人overはいい・・・・・




実に楽しい時間を過ごせました。





<スタッツ>







31節スコア
31節スタッツ



31節経過








<順位表>







31節順位表1
31節順位表2






<フォーメーション>







31節フォメ





31節スタメン


31節サブメン






<ハイライト>












◎前プレ合戦に終始した前半45分






この試合の前半は両チーム共に前プレをしかけビルドアップを邪魔する合戦になりました。
開幕戦での対戦で散々やられたようにレノファ山口の繋ぎと裏取りの錬度は極めて高いものがあります。
ですので、ファジとしたら彼らに好きにボールを扱わせるのは歓迎できない。
そこで前プレをしかけてビルドアップを邪魔する必要性があるというこってすな。


一方、山口サイドからすると”夏の補強で”矢島慎也がビルドアップを担当するし、天皇杯で2アシストとならし運転も上々の仕上がりということで、3CBと矢島のビルドアップ隊にはプレッシャーを与えなければならないという感じじゃないか?と推測します。



という両者の思惑がピッチ上に反映された結果、前半はお互いに前プレを仕掛ける展開になりました。
では、両者のビルドアップとそれに対抗する前プレをみていきます。







◎レノファ山口のビルドアップvsファジの前プレ






それでは基本的なレノファの組み立ての形からみておきましょう。




レノファビルド




このように、レノファはCB同士がそれぞれサイドへ移動して、SBを前に押し出します。
そして、真ん中が無人になると困るので中央を中盤の選手が落ちて埋めます。(この場合10番の庄司)
問題なくSBにボールが入ればそこで一つ攻撃のスイッチが入ります。



レノビル2



左SBの香川がフリーの状況ですが、それを察知してレノファのアタッカーはシームレスに崩しの下準備に入ります。
タテの裏抜けを島屋が、
島屋が抜けるラインの一本中ほどのコースを中山が、
最寄のインサイドに福満が、それぞれオートマチックな感じに動いてパスコースを提供
してきます。
この連動性の高さがレノファの攻撃の華麗さのゆえんだと思います。
レノファの崩しを後から追いかけると次々に剥がされてしまい、ビックリするほどフリーな選手に決められてしまう。
「昇格チームになんてぶざまに崩されて!」と日本各地で怒号が飛びましたが、
これほどの連動性ならスペース感覚に乏しい”気持ち守備”が派手に焼かれるのも無理はない話です。



さて、これを止めるにはどうするか?
パスサッカーは出し手と受け手が最低限必要です。
受け手を抑えるのが難しいならば、出し手を抑えるしかありません。
この図でいけば、SB香川にパスを蹴らせないようにすれば攻撃のスイッチが入らないように仕向けることができる。
そこで前プレすっか!ってことですね。



ファジプレ




まず大事なのが庄司の所です。
彼にマークをつけて「あ、中(庄司)は使えないな」と思わせる必要があります。
庄司も福満も望月も前を向かせると彼らにゲームを作られてしまいますから、彼らの自由をまず奪う。
そうすると中央に出しどころがないのでレノファのビルドはサイドに流れます・・・・・・・・→開いたCBやSB


さてここからですが、開いたCBにはシャドーを張り出してそのままつけます。
そして、肝心のSBにはWBを前進させて対応させる
これによりアンカー・CB・SBのところにプレスがかかるようになり自由にプレーする余裕を奪うことができます。
おまけに、落ちてくるFWの島屋にはそのままCBのシノを食いつかせて前方のパスコースを遮断。
ここまできっちりハメこむことができればさすがのレノファもスイッチが入りません。
ロングボール蹴ってしまうと長身のポイントがなく、パスサッカーが売りであるレノファの攻撃の持ち味を手放すことを意味しますから、
しゃーなしGKにバックパス蹴って仕切りなおすしかない。
前半守備がうまくいっているかどうかの証拠は、GKへのバックパスの有無といってもよいと思います。
前半の早めの時間にかなりハマっていて高い位置でボールをとれるシーンがあったので、そこからのショートカウンターで先制できていれば長澤監督としたらしてやったり!の展開だったでしょうなあ。



レノファの方としてもプレスをハメられていては持ち味が出せませんから、工夫をしてきます。
そこで気を利かせるのがやはり中盤の選手、福満・望月といったインサイドハーフの選手たちですね。
先述のレノファの攻撃を披露しかけたシーンをピックアップして確認してみます。
前半23分のシーンでした。



ファジが攻め、パスカットされてレノファボールになって攻守交替。
しっかり守備を整えてというシチュエーションではなく、トランジションを経てちょっとフワフワっとしながら守備体勢を整える瞬間。



23分のやつ



大丈夫、しっかりマークを確認してサイド同数でハメこんでいれば恐ろしい攻撃は展開できない。
大丈夫大丈夫。



23分のやつ2



ところが・・・・・
インサイドハーフ望月がサイドに張り出したため、彼を見るために必要な中盤の選手が近くにいません
よって望月がスイッチを入れる役としてサイドでフリーに・・・・・
あとはわかるな?



レノファこええ




スイッチが入るとわかったときのレノファの連動性はほんとに美しい・・・・
このシーンではうまくいかずにこちらとしては事なきを得たわけですが、前線にぶっちぎるスピードがあればこちらの鈍足CBでは
面白いようにブチ抜かれていたかもしれませんね。
このように途中から福満や望月や庄司が入れ替わりながらサイドに顔をだしてくるのはとてもいやな感じでした。






◎ファジのビルドアップvsレノファの前プレ




一方、ファジのビルドアップに対するレノファの前プレはどうだったか?
自分としてはここにだいぶチームとしての差がでていたなあと感じるポイントでありました。




レノファ前プレ




こちらのビルドアップ隊は3CBプラス矢島慎也の4名。
ということでレノファは3CBにはそのままFW3枚をぶつけ、なおかつ矢島にはマンツーマンでビシっと足元のパス交換を制限する守り方に出てきました。そして実際これは効果があった。
なかなか矢島が前を向けなかったのはレノファが向かせてくれなかったこともあります。


なんだレノファは攻撃もまずまずうまくいってシュートもバンバン打てている。
守備ではファジのシュートを1本程度にとどめているじゃないか・・・・・
「ファジはなんしょんで・・・・」と思いがちですが、レノファの守備は決して成功しているとは言いがたいと思います。
というのは長澤ファジはJ2でもかなりダイレクトプレーを厭わないスタイルだからです
もっといえば、赤嶺がいるのでこれでも別にいいんです。



ダイレクトプレーというのは誤解されがちですが、ワンタッチプレーのことではありません。
”ゴールにより直接的にせまるプレー”ということで、たとえばウチだったら岩政からロングボールを蹴って赤嶺が競って~みたいなそういうプレーのことです。
それがこのチームの場合は標準装備なので、
”別に下で繋げなくてもダイレクトプレーとセットプレーが死んでなけりゃいい”わけです。




実際前半の30分あたりから中3日ということもありレノファの運動量が落ちてきますが、
前プレする前線と追随する中盤、それとロングボールを競りに下がる最終ラインの間隔が開いてレノファは間延びします。
たとえばこんな感じ。



まのびー




こちらはロングボールを蹴ることになんの躊躇もありません。
前線にはスピードと足元のテクニックがある押谷がいて、なにより高さと強さで収めまくる赤嶺がいます。
レノファのCB陣ではさすがに赤嶺はきつい。
競り合い、落としで奮迅する赤嶺がロングボールのターゲットマンとして存分に持ち味を発揮。
また競ったあとのセカンドボールも間延びした中盤では回収しやすくなり、これも好都合でした。
さらに言えば、スタミナ効率的な面でも前プレする→蹴られる→競られる→落とされてセカンド拾われるの流れだと、前にプレスに使ったスタミナを浪費する格好になりがんばって前プレした割には得られるメリットが少ない。
もちろんそんなことは上野監督はわかっていて、それでも平面を消したいということだと思いますが、十分な休養をとっているファジに中3日で挑むにはかなりキツいなあというところだったのではないかと思いました。
まあ「湯田温泉で疲れとってるから大丈夫」って上野監督も言ってたからそういうことかもしれん笑







◎激闘、撃ちあいの展開に転じた後半






比較的守備の印象が残る大人しめな前半からうってかわって後半は激しい撃ちあいの様相となりました。
双方ともにしっかりとブロックを作って相手の攻撃を迎撃するような時間帯は少なく、攻撃が終わったら切り替わってカウンター。
カウンターがおわったらまたそのカウンターといった具合に、激しく攻守が入れ替わる展開
前半と比べて双方ともに前プレの回数が減った分、相手を押し込んでボールを持ち攻撃を最後まで完遂するシーンが増えました。
それゆえにシュート数もどんどん増えていき、どちらが先に突き刺すのか?ハラハラドキドキの展開になりましたね。



レノファは望月を下げて平林を入れ、庄司を一列前に配置。
SBを高く上げて自陣には2CBのみを残すという非常にアグレッシブなスタンスで先制点を狙いに来ました。
後半のあそこまでのハイテンションの火付け役となったのはこうしたレノファの野心的でバクチ的なスタンスが大きな役割を果たしていたと感じます。これについてちょっとしゃべっておきたい。




2CB




このように両SBを高い位置に送りだし、自陣にCBが2枚しか残さないレノファ。
こちらのFWは真ん中に一人のこるので、この図だと赤嶺とCBで1:2の状況になっています。
相手の最前線より一枚多く守備者を残すのがセオリーですから、枚数的にはギリギリなところ。



ガラあき




レノファの攻撃が阻まれ、ファジがボールを奪い返して攻守が入れ替わると・・・・
レノファは10人-2人=8人を敵陣に投入して攻撃に力を入れているので(いわゆる”前がかりの状態”)、
ボールを取られると広大なスペースが背後に残されている格好になります。
ファジアーノは伝統的にカウンターが相当ヘタクソなチームなのですが、さすがにこれほどのスペースがあれば出て行けばフリーになれますからね。カウンターのひとつやふたつそりゃ出せますなんぼファジでも。
そうした結果、双方の銃弾が飛び交う仕合へと試合が変容していったというわけですね。







◎プレッシャーから開放された矢島慎也の”王様”感






前半はマークが厳しくらしさをなかなか発揮できなかった矢島慎也でした。
しかし、後半はスタミナの減少からスペースが至る所に出来る展開でしたし、いったりきたりする展開で、きっちりとマークに付くのが難しかったこともあってかなり自由にプレーが出来る下地がありました。
リオ五輪の前後での矢島のファジでのプレーといえば、高い目的意識に反比例するようにゲームに絡む時間が短いことからくる苛立ちばかりが伝わってくる印象でした。天皇杯でいくらか感じを取り戻したとはいえ、ガチのトップメンバーでというわけでもない。
やはりリーグ戦で再びフィットしてこないと・・・・と思っていたんですが、この試合の後半のプレーには自身でもある程度納得がいくものだったんでは?と思います。ちょっと安心。
守備での読みや、ボールキープの安定感、なにより長短のパスで完全にチームを動かし決定機を演出。
伊藤大介の決勝点も矢島のサイドチェンジが実に効果的でした。
他のクラブのサポーターからも「柏木の代わりが十分務まるんじゃないか?」という声がありましたが、後半のこの王様感ならばさもありなんというところ。リーグの終盤に向けて矢島の出来不出来が相当影響を及ぼすことは間違いないので、ここでひとつ結果を出してくれたのがよかったなと思います。






さて、のこり11試合。
まだまだ2位の目も残っている以上、自動昇格圏内に向けて連勝が必要です。
やっとレノファ戦を終えましたがまだまだ強いチームとの対戦が多く残っているので安心は出来ない。
ちょっと台風が心配ですが、次の熊本戦絶対に勝ちましょう。
トヨの凱旋ゴールがみたい!!




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