一森純の美技に酔いしれるの巻

一森純
(写真:@fyusoccer)




正直に告白します。
自分は一森選手は3番手のGKできっと櫛引や椎名の壁を越えられないだろうと思っていました。
ところがどうだ?ちょっとこいつを見ておくんなせえ。






比較
(出典:Soccer D.B)






17節終了時点で11試合の先発、フルタイム出場で990分。
ファジアーノ岡山の正GK争いにおいて一森純選手が大きくリードを広げようとしているではありませんか。





今年の大変革の中でもGKの後継者争いは大注目のポイントでした。
5年にわたり岡山のゴールマウスを守りつづけた前任の中林洋次選手が古巣広島へ移籍。
広島サポによれば「セーブ技術だけなら西川(周作)より上」という評価で岡山に来たウッズでしたが、その評判通りのセーブで再三にわたり岡山の危機を救ってくれました。あまりに神がかかったセービングを見せるので”神林”とよばれるほどに。彼のようなJ2最高クラスのGKを持てたことが岡山の実力の基礎であったことは誰の目にも明らかでした。さてさて、そのウッズの抜けた大きな穴をどのように埋めるのか?そこが今年の大問題の一つであります。


私見では櫛引選手がさすがに五輪代表GKの実績通り、高い身体能力を生かし岡山で開花する可能性を想像していました。矢島がそれで上手くいったこともありましたしね。ところが、フタを開けてみると出場機会を勝ち取ってきたのは第3の男と目していた一森純。今年はあまり試合を見れていないのですが、他のファジサポさんの彼に対する評価に耳を傾けると日に日に信頼感が高まっていくのがありありと伝わってきていました。はやくも”神林”ならぬ”神森”と呼ぶ人もチラホラ。そういう流れがありつつも自分の目で確かめられないので、え?え?まじで?そんなに一森きてんの??と思っていたら、千葉戦ですよ。




これはダメ・・・・・・
こんなすごいプレー・・・・・
ファンになるしかないやつじゃん・・・・・





サッカーを見ていると、問答無用で魅了されてしまうスーパーなプレーに出会うことがあるんですが、
千葉戦での一森のキック一発はもう一発KOですよこんなの。こちらの目を覚まさせるのに十分な完璧なプレーでした。
ということで、なにをゼロファジはそんなに興奮しょんなら?という話なんですが笑
千葉戦のかたやませんしゅの同点ゴールを導いた一森選手のロングフィードに焦点を当てて少し掘り下げてみたいと思います。



あ、そうだ。
プレーの話に入る前にちょっと余談。一森選手の人柄についての話を。
毎年新加入選手の様子をみにキャンプ明けたら政田練習場に顔ぶれを見に行くんですね。
これまでいろんな選手が移籍してきてくれましたが、一森ほど”岡山に来れたよろこび”を素直に表現してくれる選手はいないなあと感じておりました。大学生の時に政田にきたこともあったし、ウチには中学からの盟友篠原もいます。そして練習環境やクラブの立ち位置、きっといろんな面がしっくりきた移籍だったのでしょう。こんなに楽しそうにうれしそうに岡山でのキャリアを過ごしてくれると自然とこちらもうれしくなっちゃうよね。
「岡山のゴールマウスを守る光栄、誇り」と口にしたり、3-0の大敗を喫した愛媛戦での攻め上がり。
なんとかこのチームのために、何か貢献を!という気持ちが伝わるプレーでした。
そういう姿勢がすごくサポ心理をくすぐるというか、「こいつちょっと応援したいな」って思わせる選手だなあと思います。普段はチーム推しみたいな自分ですが、久々にこの選手を応援したいなと思う選手が出てきたなあと思っております。
前置きが長くなりました。
では本題にはいっていきましょう。









◎千葉戦の同点ゴールは単なる千葉DFのミスではない







まずは動画で一連のシーンを確認してみましょう。







一森がロングフィードを千葉のDFラインの背後に送り、千葉のDFが処理をミスしてGKと交錯。
無人のゴールに片山選手が流し込みゴールという流れですね。
一見すると千葉のDFなにやってんの?って結論になると思います。確かに処理するチャンスがあったのに、できなかったわけですからそういう結論も間違いじゃない。
しかし、このゴールは明らかにGK一森によって千葉のDF陣が完全に騙されたことによるものであります。
ゴールを決めたえーちゃんはもちろん称賛されるべきですが、このゴールの貢献の8割は一森によるものだといっていいと思います。



では、一森のこのキックの何が凄かったのか?
それは的確な状況判断と、正確なキック技術、この2つがバチっとマッチしていたからです。






◎一森の的確な状況判断を吟味する





まずは状況判断の話から。
ゲームは0-1で千葉がリードしており、ATは2分。
時計はもう2:00を回ろうかというところでしたから、もうワンプレーあるかないか?という状況でした。
実際にゴールが決まってすぐに笛が吹かれ前半が終了しましたから、ラストワンプレーでゴールを獲れた形でしたね。
前半を1-1で終わるのか、0-1のビハインドで終わるのかは天と地の差があるので、その一点だけ考慮してもこのプレーの価値は高いと思います。MOMは普通なら1G1Aのえーちゃんでしょうが、個人的には一森で決まりでした。


<時間の状況判断>


一森のところへボールが渡った流れは、千葉が左サイドの清武を裏に走らせスルーパスを合わせようとしたけど長すぎてGKまでいっちゃった形。ハイライトの2:22あたり。







図に起こしてみるとこんな感じです。



GKへ


黒丸のスペースに清武を走らせて裏を取らせたかったけど合わなかったね~というシーンですね。
動画の左上を見るともうATも2分近いですから、ここで一森がボールを足元にコントロールしたり、近い味方にパスしたりしていれば程なく笛が鳴ってしまう時間でした。ですから、おそらく一森の頭の中で「もう時間ないな」ということが頭の中にあったことでしょう。


このように、一森はゲームの時間帯に合わせた判断ができていたことがここでわかります
千葉の選手はある程度「もう前半終わりかな?」と一瞬ふっと気を抜いてしまったことが一森のプレーとは好対照になってしまっています。




<場面の状況判断>




千葉が攻撃をしたが失敗した、ということで攻守の切り替えが起こりました。
攻撃が終わった瞬間は攻撃用の陣形になっているのでそこから撤退しながら守備の陣形に切り替えていくのが定石です。
ましてや最終ラインの裏という弱点を抱える千葉は気を抜いてはいけなかった。
一森がボールをける瞬間の位置はこのような感じでした。
攻撃を終えた直後の千葉は緩慢に守備位置につきます。弱点がモロだしのまま・・・・・
そこを見逃さなかった一森の状況判断が鋭い。


うら2





千葉はおそらく誰一人として一森がロングフィードをノートラップで蹴りこんでくるとはおもっていませんでしたから、すべてが後手後手になり非常に慌てた対応にならざるを得ませんでした。まさに弱点に奇襲攻撃を食らってしまった。攻撃が終わった後のちょっとした気のゆるみと、タイムアップの可能性が千葉の選手たちのアラートな意識を鈍らせたのでしょう。




と、このように、
一森は千葉が心理的に不用意になる瞬間と、相手の弱点をしっかりと把握できていたわけですね。



ハイライトの2:49あたり、一森のキックの瞬間を真正面におさえた動画になっています。一森がダイレクトに蹴ってくると誰も思っていなかったので、千葉の選手は(GKに任せる考えかもだけど)裏のスペースをケアする選手がひとりもいません。全くの無警戒。蹴られてから「ダイレで蹴るのかよ!」とばかりにDF陣が戻ってくるのがよくわかります。
さきほど一森が千葉を騙したといいましたがこのようにタイミングの騙しがバッチリハマってるんですよね。
相手の虚を見事に突くことができたわけですから。
キックの不得手なウッズではおそらくこういう発想にならなかったでしょうから、一森ならではなシーンだったと思います。
ということで一森の状況判断のすごさについてのお話でした。









◎一森の正確なキックと騙しの技



<ボールのコントロール>



さて次は正確なキックについてのお話です。
まずロケーション、どこを狙うのか?というところですがもちろんDFとGKの間になります。
さらに言えばDFが頭で処理できないところであると同時に、GKが簡単にクリアできない場所でないといけません。こうして考えると、広いエリアにアバウトに放り込めばいいというわけではないことがわかりますね。




狙いどころ





また大事なのがボールスピードや飛球の高さです。
変な回転がかかってボールのスピードが遅かったり、高く上がりすぎるとどうしてよくないか?というと、DFが落下地点を予測する余裕が生まれてしまうからです。野球のフライなんかもそうですが、風の影響を除外すれば空中に長くボールがあるほうが落下地点を予測するのが簡単になりますよね。あれと同じ理屈です。なんとか頭で処理できないボールにしなきゃいけませんから、スピードも高さもDFやGKを困らせるようにコントロールされなければなりませんでした。
その点、この一森のキックはロケーションもスピードも高さも完璧にコントロールされています。



<騙しのバックスピン>




さて、このプレーはここまでの話でも十分クオリティのあるいいプレーでした。
しかし、このプレーをスーパーなプレーへと押し上げているのが、
バックスピンをかけて千葉の守備陣を幻惑したことです!・・・・これは、まじで恐れ入った!!
バックスピンのかかったボールはバウンドしたときにキッカーのほうに戻ってくるように動きます。つまり一森のほうへ戻るように跳ねるわけですね。もし、バックスピンがかかっていないとどうなるかというと、




スピンなし





このようにボールの前に進む力が落ちませんから、GKなどは先に触りやすくなってしまうんですね。
ところが、バックスピンがかかっていると、いわばぐーーっとブレーキを踏んだようにボールは動きますから、




スピンあり




バウンドした瞬間に真上にはねるような感じで動きます。
さて、ここでもう一度ゴール動画をチェックしたいのですが、GK佐藤と処理に当たったDF岡野(26番)に注目しながら見てほしいと思います。








0:03ではGK佐藤選手が裏に出てきたボールを処理しようと飛び出してきますが、ボールがはねた瞬間スピードダウンしているのがハッキリわかります。
迷ったんでしょう。
バックスピンがかかっているとは全く想定していなかったので、意表を突かれてしまったために。


0:31ではDF岡野選手がバウンドに合わせてジャンプしようとした瞬間、バックスピンでボールが止まってしまったためにジャンプが完全に中途半端になってしまっているのがわかります。
なんとかさわろうと頭に当てましたが、その後GKと交錯しゴールを許してしまいます。
彼もまたバックスピンがかかっているとは予想できず、またボールを見定める時間的猶予もなかったため完全に出し抜かれてしまっています。




先にこのゴールは単にDFのチョンボではないといいましたが、この通りです。
ダイレクトでロングフィードはないと思っていた千葉を欺くタイミングの騙し、
そして巧妙に仕組まれたバックスピンの罠。まんまと、ですよ。
DFとGK、両者とも完全に一森のキック一発で騙されてしまっているんですよ。





すっげえ・・・まじですげえプレーだよいちもりくん・・・・・




ということで、一森のキックについて掘り下げてみました。いかがだったでしょうか?
的確な状況判断の上に、正確な技術が乗ったスーパープレーでありました。
ベストゴールとかベストセーブもいいですが、こういうプレーももっと称賛されるといいなと思います。


このシーン、もう何度も何度も見直したので目をつぶっても再生できるほどですが、
果たしてこの場面、一森の選択よりも上級なプレーは存在するだろうか?と考えながら見ておりました。
あれやこれやと考えてみたんですが、どう考えてもこれ以上のプレーは存在しないんじゃないか?としか思えないんですよね。
自分とこの選手でもあんまり完璧!とかほめないんですが、このプレーについては完璧というほかないんじゃないか?と思っています。どうです?こんなプレーをされてしまうと、ファンにならざるを得ない気持ち伝わったでしょうか?笑




さて、もうすぐ試合です。
次節は一森が守護神として活躍していた古巣レノファ山口戦ですね。
おそらくはスタメンで出場することだと思いますが、成長を続ける一森純の姿を存分に見せてほしいなと思っております。それではまた次の記事で。




これもうGKユニ買うかなあ・・・・お金がなぁ・・・





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COMMENT 4

さこ  2017, 07. 06 [Thu] 23:52

No title

いつも楽しく読ませていただいてます。いや〜一森選手いいですよね〜
いいコラムをありがとうございました。

Edit | Reply | 

-  2017, 07. 14 [Fri] 02:03

考えすぎじゃないですかー

Edit | Reply | 

Zerofagi  2017, 08. 17 [Thu] 22:15

>さこさん


お返事遅くなりすみませんでした。
一森のキックマジでいいですよね!また読んでやってください

Edit | Reply | 

Zerofagi  2017, 08. 17 [Thu] 22:16

>2:03のかた


そうです。考えすぎですね。

Edit | Reply |