岩政大樹の2年間とこれからの岡山

◎岡山の”温かさ”は応援者気質の強さからくる






前キャプテン岩政大樹氏も言及していましたが、岡山のサポーターは”温かい”と言われます。
おそらくはファジの黎明期を支えた先人たちの組織的ブーイングをやらない姿勢が起点になっているんだろうと思いますが、この考え方がほかのファジサポにも影響を与えて相当に広まっていますよね。これは素晴らしいことだと思います。
このことが実に象徴的ですが、岡山のサポーター全体として持っている”温かさ”は、応援者気質の強いサポーターが多いことに理由があるのではないか?と思うんですよね。自分も何十人とファジサポさんと会話を交わしてきましたが、それを思い出してみても応援者気質の強いサポーターさんのほうが圧倒的に多いなと感じます。声が大きい集団が空気を作りますから、これが岡山の空気なんですよね。
もはや岡山スタイルと言ってもいいこの姿勢は、年を重ねるごとに強化され、支持するサポーターもかなりの数になっているんじゃないかと思います。すごく気がつくのが遅かったけど・・・・俺めっちゃマイノリティだったんだなと・・・笑
まわりみんな応援者気質強いサポーターなのに、一人観客気質が強い奴がああだこうだ言うみたいな構図だったのかと思ったり。本当はネガティブなことや選手や監督やチームに対して批判的なことをもっと自由に言いたい人も少なくないと思うんですが、そういう人を見つけては叩いて黙らせてしまうような空気が岡山にはあるなあと。それはいいことじゃないと思う。
岡山のスタイルは応援者気質の強いどんな時も支えるスタイルで、それは大きな恩恵ももたらしていると思います。しかし、それが唯一絶対に正しいルールというわけではない。みんなが従わなければならないマナーでもないんですよね。
ただ事実として、岡山で一番大きい声で”らしさ”のレベルまで根付いているのも間違いない。







◎岡山の”温かい”スタイルのいいところ






こうした岡山の”温かさ”にはいいところもわるいところもあります。
まず、一番いいところは試合の後の空気が悪化し過ぎることを防げることだと思います。
SNSなどをみているとよくわかりますが、ネガティブな感情は広がりやすく大きくなりやすい傾向があります。
とりわけ、フラストレーションに対する怒りなどはその傾向が顕著で、雪だるま式に大きくなってしまう事があります。
これに対し、ブーイングを組織的に行わないでいることやふがいないときこそ支える岡山スタイルは炎上を未然に防ぐストッパーとして実によく機能しているなあと思っています。だってさ、岡山でサポーターの怒りが爆発してバス囲んでしまえ!とか想像できないでしょ?そういうレベルまでボルテージが上がりきって手が付けられなくなることはちょっと考えにくいですよね。またこれに関連しますが、試合の空気が悪化しないので新しいお客さんが馴染みやすいのは間違いないでしょう。そら毎試合のように怒号が飛び交うスタジアムなんかだと新しいお客さんが定着しやすいわけがないですもん。岡山がJリーグにくる以前からお客さんが順調に伸びていった要因の一つとして、この岡山スタイルのもたらした貢献度は実に高いものであっただろうなと推測します。あえて言っておきますが、このスタイルはお客さん集めに苦労するほかの地方クラブにも自信をもっておススメできるすぐれものであります。






◎岡山の”温かい”スタイルのわるいところと岩政大樹





一方、悪いところはリアクションが同じであるがゆえに観客としてどう感じたかメッセージ性が弱いところです。
無論選手や監督もサポーターが満足しているのかは気にしてくれていると思います。感じ取ってくれているかもしれない。
試合はいいときもわるいときもありますし、悪いとき「今日はよくなかった」ことを選手にもっと伝えていいと思うんですよ。
しかし、常に拍手で迎えることはいつも同じメッセージしか発してないのと同じだなと思うんですね。


そしてもう一つは勝ちにこだわる厳しさの物足りなさの部分。
よく”厳しさ”を示すことがなんの応援になるんだよ!?って怒っている方がおられますが、厳しさは大事ですよ。
スタジアムが選手の甘さやぬるさを許さない空気を持っていることはとても大事なことです。
サッカー選手といえどもプロ契約したからといって”はいバリバリのプロ意識を持った選手の出来上がり”ってわけにはいきません。
やってるつもりでもぶっちゃけ追い込み切れなかったり。なんとなくここまでやってりゃまあいいかなと妥協してしまったりそんなの普通にありますからねえ。そういう部分が本番であるゲームに出てこないようにしたかったのが岩政大樹の2年の取り組みだったのではないでしょうか。
彼は紳士なのでサポーターの領分にずけずけと足を踏み入れることはせず、岡山のスタイルを尊重してくれましたが、(自分は彼が来ると知ったとき、勝ちを追求する厳しさをめぐってファジサポと衝突することになるかも??とワクワク、ゲフンゲフンしていました)最近出た元鹿島監督の石井正忠さんとの対談の中で、
岩政「鹿島は最初の時点でジーコが勝負に対する厳しさを伝えましたが、岡山はその部分がまだまだです。



すごく温かいがゆえに、甘んじてしまう空気があるんです。」




と言っています。
岡山の温かさに選手が甘んじて勝利に対して厳しく追及していくことができなかった、と。
これに対してサポーターはどうすべきか?もっと議論されるべきではないでしょうか。
サポーターで何とかできる部分の話でもありますからね。
もう一つだけ岡山が擁した偉大なキャプテンの言葉を引用させてもらいたいと思います。
こちらは岩政大樹のブログの中の「サポーターの声」というエントリからです、



”サポーターの皆さんが喜ぶプレー、サポーターの皆さんの期待、サポーターの皆さんの望み、サポーターの皆さんの落胆。それらはサポーターの皆さんに囲まれたピッチの中で、はっきりと感じることができます。

サッカー選手はサポーターの皆さんがいらっしゃらなければ成り立たない仕事です。サポーターの皆さんのことを少なからず意識してプレーしています。皆さんの思いは確実に届いています。

届いているのは言葉ではなく、思いです。言葉はごまかせても、思いはごまかせません。応援するチームに本当に優勝してほしい、そして本当に優勝できると思っているか。応援するチームにどんなサッカーをしてほしいと思っているか。その日の結果に満足しているか。そのプレーに満足しているか。全て言葉からでなく、スタジアムの空気から感じています。

だから、本当の意味でサポーターの皆さんはチームの先行きを決める存在なんだと思います。だから選手にどんどん期待してください。プロの選手に言い訳は必要ありません。ベテランだろうが若手だろうが、調子が良かろうが悪かろうが、試合に出れば結果を出さなければいけない世界に私たちは望んで生きています。”





選手・監督に自分たちはここまで行きたいんだと目標到達地点を示すのはサポーターであり、選手は期待を背負ってそこに近づいていく存在であるということですよ。これを読んで「俺あのときほんとにファジはJ2優勝できる!と思っていただろうか・・・・」と思いました。周りの人たちはどうだったろう心からこのチームは優勝すべきチームという思いを持っていたろうか。だいぶいいところまではいっていたと思うけど・・・とは思うんすよ。でもそれだとやっぱ6位なのかもなあとか思ったりね。
岡山の温かいスタイルは選手の出した結果を受け入れるというものであり、目標や期待を主体的に発していくことが少なすぎる。
岡山にないものはこういうところなんではないか?つくづく岩政が岡山に来てくれてよかったと思います。
おそらく岩政が岡山にやって来なければこんな話が浮上することすらなかったでしょうから。







◎正しさはいくつもある






さて、最後になりましたが自分の反省をしなければなりません。
ぶっちゃけた話、応援者としての意識が低い自分は応援者の意識が強い岡山のスタイルについて息苦しさを感じることがかなりあります。岡山のスタイルには良いところも悪いところもありますが、悪いところにスポットライトがあてられることなど皆無に等しいです。それくらい岡山スタイルは浸透しているしみんな気に入っているんだなと思っています。しかし、少数だからと言って聞く価値のないものばかりということもないでしょう?この2つの記事でスポットライトを当てた”観客気質”の部分なんかまさにそうだし、かき消されてしまう声の中にも役に立つものはあるはずだと思います。


正直に告白しますと・・・自分は、応援者気質の強い空気に対して実につまらない対抗心を燃やしていたんですよ。
正しいのはそっちじゃないんだ。
こっちこそ正しいんだというように。
もしかしたらそういう対抗心からつまらないこともいくつか言って無駄に人の気分を害したこともあったかもしれない。
(そういうことがあったならばこの場を借りてお詫びします。すみませんでした。)
でもそれは間違いで、正しいことはいくつもあるんだと知らなかっただけなんだなぁって思ったんです。
どっちが正しいか?みたいな一つの椅子を取り合うイス取りゲームではなく、それぞれがそれぞれに正しいイスに座ればいいのだな、と。南半球には南半球の、北半球には北半球のそれぞれの正しさがある。どっちが上とかどっちが正しいとかそういうんじゃないんだなぁと、分かっていなかった。それがわかったときすごく開放感がありました。
そしてもう一つ思ったのは、ここまで”らしさ”のレベルまで定着しているスタイルを否定していこうとするのは逆に不自然な考え方なんじゃないか?ということ。尊重しつつも、足りないところについては言及するみたいなスタンスのほうが自然なんじゃないかなぁということです。
そういうことがあったのでこのような記事を書いてみました。
岡山のサポーターもまだまだこれからどんどん良くなっていけると思います。
いろんな正しさを備えた素晴らしいスタジアム、素晴らしい岡山スタイルになっていってほしいなぁと思いました。
長い記事にお付き合いくださって本当にありがとうございます。
みんなこれどう思うんだろう?自分は反応を聞いてみたいと思います。
よろしかったら匿名でもかまいませんのでお声を聞かせていただけたらなと思っております。



おわり




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COMMENT 10

摩久  2017, 10. 03 [Tue] 19:22

No title

いつも勉強させてもらってます。

自分はゼロファジさんの分析系記事を見始めて、サッカーの奥深さやファジの成長を感じながら応援出来て、でもそれは自分の視点からは得られなかった喜びであり、サッカーを見る幸せが増えたと思ってます。

これからもいろんなしてんからの記事を期待しつつ、お忙しいとは思いますが戦術分析も心待ちにしておりますっ!(^_^;)

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椎  2017, 10. 04 [Wed] 10:16

聞きたくないと思っていても、一度起こったネガティヴな反応は止められるものではないです。そもそも権限もないのに、止めようとは思ってません。
応援者気質の大多数の人はそうでしょうし、さっさと立ち去るなりして我慢してると思います。

だからスタジアムに「拍手するな」などと、人の見方にまで踏み込んでネガティヴな反応を拡大しようとする人がいると、我慢している分まで気持ちが荒れるんですよね。
人の反応までコントロールしようとする傾向が減っていけば、揺れが小さくなって共存は可能になっていくのじゃないかと思います。希望を込めて。

追伸:観戦初心者はファジに限らず、印象的だった試合やプレーの小話とか読みたいです!

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-  2017, 10. 04 [Wed] 10:19

100年続く物語

地域リーグ時代からなんですが、あの頃は夢だったんです。
JFLで平均3000人入場を1年で達成してj2に上がったんです。
色々あって、今があって、それも100年続く物語の1ページなんです。
僕は将来、孫やひ孫に言うんです。
言いたいんです。
熊谷~富山~あと一歩だった大阪~
色々あったけどファジサポはJリーグでブーイングをしない唯一のサポーターなんだよって。

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nao  2017, 10. 04 [Wed] 11:35

初めてコメントします。

すごく腑に落ちる内容でした。
自分も観戦者気質が強いサポーターです。

シーズン半ばを過ぎて、勝ちきれない試合が続いた中での瀬戸大橋ダービーを含むホーム連戦。ここで連勝して終盤戦のスパートを!ってところで連敗。
この状況では、ブーイングはあっても仕方がないと思います。自分はテレビ観戦でしたが、かなり不満の残る試合内容でした。

また、選手から「気持ちで負けなければ、競り合いには負けない。」、「相手よりも強い気持ちを持って・・・」といったコメントが聞かれますが、ここ最近は気持ちで負けているだろうといったことが多いと感じています。

試合後に拍手で選手を迎える、ブーイングをしないといったファジサポの姿勢・気質は良いと思いますし、試合中にヤジばかり飛ばしている人が近くにいると、すごく嫌な気持ちにもなります。
ただ、試合後に選手やチームに檄や喝を入れる時があってもいいと考えます。
拍手で迎えたとしても、言うべきことは言う。ただけなすことはしないといった感じで。


長文・散文で申し訳ないです。
サポーターとしても、これから上に行くためには、在り方を考える時期に差し掛かっているんでしょうね。

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Zerofagi  2017, 10. 06 [Fri] 13:39

>摩久さん


いつもありがとうございます。ありがとうございます!
なかなか時間が取れないですが、試合の内容を扱った記事も書けるときには書いていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

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Zerofagi  2017, 10. 06 [Fri] 13:50

>椎さん


コメントありがとうございます。
これは観客気質が優勢な人間として返答させていただくと自分の考えが伝わりやすいかもしれませんので、そのようにお答えさせていただきますね。
自分は観客は試合あるいはチームと1on1で向き合うものだと思っています。いいな!と思えば称賛すればいいし、よくない!と思えば批判したらいいと思うんです。そこによその人間が介在する余地などありはしない。あくまでそいつがどう向き合うのか?であって他人は関係ないんですね。
だからブーイングしろ!とか言うこと自体ナンセンスだなあと思います。
ブーイングするかしないか、他人は他人で判断しますから余計なお世話ですからね。
そういう暇があるならビビらず堂々と観客としてブーイングすればいいだけのことです。


誰もがいい試合だった!思う試合がシーズンの中でありますが、そういう試合であれば「拍手しろ!」なんて促されずとも勝手に1つ1つの拍手が足し算で大きくなってスタジアムの「思い」として形成されていると思うんですよ。それは個人個人が試合と向き合って称賛したいと思った気持ちの総和ですよね。ただ、その逆もあり得る。そういう話だと思っています。

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Zerofagi  2017, 10. 06 [Fri] 14:01

>11:35のかた


コメントありがとうございます。
あなた方の努力の道の上に自分の今があることを忘れてはいません。
しかし、遠慮していてはいけないと思うので本音のところで返答させていただきます。
まず、ブーイングをしないサポーターであることに誇りをお持ちな感じが伝わりました。
ファジが規模を拡大していくと、(おそらく体験されたと思いますが)JFL→J2とどんどん人が増えていったことだとおもいます。そうするといろんな人が新しくサポーターに加わってきてくれるようになりますが、彼らにブーイングをしないメリットやあなた方がどう誇りを持っておられるのか理解してももらう努力が欠かせないと思います。
なかにはブーイングしたいのに・・・という気持ちを押し殺してしぶしぶ”しない主義”に付き合っている方もおられることでしょう。そういう方とどう協力してブーイングしない主義のよさを継続していくのか?すごく難しいですがいろいろと課題はあると思います。個人的に悪いところばかり取り上げて文句や愚痴を並べあげたいわけではないので、いいところ・わるいところ両方取り上げて記事にまとめさせていただきました。

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Zerofagi  2017, 10. 06 [Fri] 14:09

>naoさん


ああ!こんなに伝えたいことが伝わってうれしいことはない!!
しっかり読んでくださってありがとうございます。


まさしくおっしゃったとおりのことで、プロとして興行しはじめて9年経ちます。
そろそろクラブの規模的にも観客動員数的にもJ2に参入した当初と比べれば、だいぶ上の方まで登ってきたなあという感じがします。プロであるのかそうでないのかは大きな差で、このクラブとしてのプロキャリアの長さはそのまま経験値の差にもなるなと湘南とか札幌を見ていると思います。2009年、あるいはそれ以前のものさしをあてがって今のファジをはかるのはもう無理がある。サポーターも少しづつ変化していくじきなのかもなあぁと思いました。

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ナナ  2017, 10. 08 [Sun] 07:07

はじめて

コメントします。いつも楽しみにブログ読ませて頂いています。私は、サッカーに関して、ほんっとうに無知でいまだに戦術とかあんまりよくわからないようなド素人ですが、ファジの試合観戦が大好きで、できる限り毎試合行っています。岡山にプロサッカーチームがあって、一喜一憂しながら応援できることが嬉しく、またそれを支えるサポーターやスタジアムの雰囲気も大好きでした。私も勝っても負けても、いっぱい声援を送るいちサポーターです(笑)
ですが、ど素人の私から見ての感想を言わせてもらうと不甲斐ない試合の後、暖かい声援をもらった選手はどう思うんだろう…と最近ふと疑問に感じることがあるのです。私がもし選手だったら、自分でも情けなくなるような試合内容だった時に、よく頑張った!がんばれ!ばっかりの声だったらサポーターに申し訳なさすぎて、ただただ胸が締め付けられそうだな…と。それよりも、しっかり叱られた後に、それでも頑張れ!どんな時も応援してるよ!と言われた方が、ずっと力になりそうだな…って思うんですよね。もちろん、人間性を傷つけるような言葉は絶対にイヤですが、叱咤があって激励することも、これからのファジアーノの成長には必要なのかな⁇とゼロファジさんのブログで思いました。
アウェーの試合を観たことがないので、他チームがどんな感じかわからないけど、それぞれのサポーターさんが応援し、育ててきた歴史があるんだろうな。と思います。ファジアーノもまだまだこれから進化するチームとして、応援したいです!
長文になり、申し訳ありません。これからもブログ楽しみにしています!

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Zerofagi  2017, 10. 19 [Thu] 23:21

>ナナさん


コメントありがとうございます。
今回あくまで自分の私見を述べさせていただきましたが、いろんな考えいろんな感じ方をするひとがいますし、ナナさんご自身がしっくりくるすごし方でチームを応援されるのがきっと一番いいんじゃないかと思っております。
ファジもまだまだ豊かな未来に近づいている最中。
いいときもわるいときも楽しみましょう!

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