複合型スタジアムっぽさを体感できるFC今治のホームゲーム

引き続きFC今治探訪記の続編です。



前回はフットボールパーク構想についてのお話で終わりましたが、
実は今回の話こそが最も自分が感銘を受けまた脅威を感じ、一番に伝えたいと思った内容であります。
それは、



夢スタは複合型スタジアムっぽさを体感できるスタジアムである。




ということであります。
それからFC今治の集客の方針はこれまでのホームタウンの概念から逸脱するのではないか?というお話。
この2点についてじっくりお話していこうと思います。もーこの話がしたくてしたくて!
なんちゅうか日本のスポーツビジネスもほんとに変化を迎える時期なんだろうなぁと思ってしまうんですよねえ今治について考えると。
おそらくその流れに乗れるか乗れないかで次世代の勝者と敗者が決まっていくのだろうと感じています。
いち早くそういったことに着手しているのがFC今治やいわきFC、野球だとDeNAなのだろうと。
岡山もこの流れを読んで乗らにゃおえん。淘汰されずに乗り切らないといけないなと感じます。
おっと前置き長くなったな。それでは本題に入っていきましょう。





◎夢スタ、イオンモールのある今治新都市という土地





夢スタがある一帯のエリアのことを今治新都市といいます。
この一帯の丘陵はしまなみ海道の利便性を生かすために用地整備されたエリアになっていていろんな工場や事業所が入っています。
ちょうど雰囲気的には岡山で言えばコンベックス岡山のあるあたりに近いかな。ICも近く小高い丘の上にあるという感じ。
このあたりの土地はまだまだ整備できる余地がありそうで、今治サポーターの人も丘陵を切り崩して開発すればまだまだ土地は広げられると思いますと言っておられました。そこに商業施設としてオープンしているのがイオンモール今治新都市です。



ここでまた地図を開いて夢スタおよびイオンモールの場所をもう一度見てみましょう。




みはらし


黄色が夢スタの位置。
青い丸のところから矢印2本出てますね。
黒色と白色、それぞれ夢スタ方面とイオン方面。
これから青い丸の地点で撮った写真を2枚貼り付けますので、イオンの距離を実感してみてほしいと思います。
まずは、夢スタ方面。



くろやじるし


そして次は、イオン方面。



白矢印



ち、近いっ!!
もう隣じゃねえかこれ・・・・



大人の足で歩いて5分ほどですよイオン⇔夢スタ間。
近いなんてもんじゃあない。
イオンの隣にスタジアムがあるというよりはむしろ、イオンの駐車場に夢スタがあるくらいの距離感なんです。
近い近いとは聞いていましたが、まさかここまで近いとは・・・!






◎イオンとの近さが生む複合型スタジアム感






複合型スタジアムとは、簡単に言うとサッカー専用スタジアムにショッピングセンターや病院やホテルなど試合のない日にも稼働する施設をくっつけてあるスタジアムのことです。イタリアセリエAのユベントスのホームスタジアムであるユベントススタジアム(アリアンツ・スタジアム)であるとか、スイスのバーゼルのザンクト・ヤコブ・パルクなどがよく知られているようです。
夢スタはこうした複合型のスタジアムではもちろんありませんが、あまりにもイオンが近くにあるために、実際に複合型スタジアムにかなり近いイメージで活用することが可能になっていると思いました。これはほんと凄いと思う・・・。


そのスイスのザンクト・ヤコブ・パルクは1階と地下にショッピングモールがあるんですが、この夢スタとイオンの距離感であればもう地下にあるのか駐車場にあるのか程度の違いしかないんじゃなかろうかと思ってしまう。
ザンクト・ヤコブ・パルクはものすごいスタジアムで他にもいろんな機能ををもった素晴らしいスタジアムですが、少なくともショッピングモールの便利さについてはこの夢スタもひけをとらないんじゃないかなぁと。
岡田オーナーのビジョンによれば、いずれ整備することになる1万5千人収容のJ1規格に適合した新スタジアムは複合型スタジアムにすることが前提になっています。現状でも複合型スタジアム感はバリバリに感じられるのにそこに上乗せするようにスタジアムを交流人口を増やす拠点にする構想があるというのだから・・・・
もうこれまでのいち地方クラブがサッカーピラミッドの上を目指すという物語と、なんだか次元が違うなあと思ってしまうんだよなあ。



FC今治とイオンのコラボレートをいくつか見つけましたので写真を乗っけておきましょう。
あ、とその前にこのイオン今治新都市と岡山と倉敷のイオンの数字を貼っとこう。これで規模感がなんぼか伝わるかもしれん。


イオン比較



岡山と倉敷のイオンは全国的に見てもかなりデカいほうなので少し今治新都市が小さく感じますが、実際歩いてみるとふつうにイオンだなぁという感じで特別小さいとか狭いとか感じることはなかったですね。


5pa-.jpg



しゃとる


展示


ちけうり


えんじょい


おーそり



この日朝からの雨で靴も靴下もびっしょびしょでとても気持ち悪ーい感じだったんですね。
とはいっても着替えは持ってきてないし、どうしよもう靴下くらい買うか!と思いながらイオンを歩いていたんですが、このスポーツオーソリティのFC今治のチケット提示で10%オフを見つけた瞬間「はい!決まり」でしたよ。3足1000円のやつを2セット。どうせ仕事用に買わないといけないものだったしこれはいい機会だと思って購入しました。
写真にもあったようにFC今治とイオンは連携していてチケット提示で割引が利用できます。
この近さと割引なら試合前や試合後にちょっと買い物って気分になるのもごく自然な話ですよ。
聞いたところによれば夢スタのこけら落としの時には、試合前に6割の人が、試合後に4割の人が、のべ5千人のひとがイオンに立ち寄ったそうです。なんちゅう理想的な連係プレーか。ほんとにwin-winな形が作れていると思います。
他にもこんなメリットがありました。


ふぇす



イオンの駐車場がイベントスペースになっていてからフェスというフードイベントが開催されていたんですね。
そのほかにもハロウィンにちなんだイベントをイオンの2Fでやっていたんですが、当然すべてのイオンの無料参加イベントはFC今治の試合を見に来ているお客さんもシェアできます。イオンのイベントだとたまに有名な人とかも来ますがああいった催しも楽しめてしまうんですよね。クラブもイベントを独自に展開しますが、プラスアルファでイオンのイベントもつまみ食いできてしまうんだなぁ・・・・・ぜ、ぜいたくな話やで!




というわけで割引を活用して靴下を購入したわけですが、
この日鞄いっぱいに荷物をもっていたので、正直手荷物増やしたくない状況だったんですよね。
たぶん普通にアウェイにいって同じような状況であっても「まあ、手荷物邪魔だしガマンすっか・・・」という感じで買わない選択しただろうと思うんですよ。自分は手荷物もつのすごくいやなタイプなので。


けどさ・・・・


車で来てるじゃないですか?邪魔なら車に置いておけるんだよね荷物を。
それこそもっともっと買い物して買い物袋両手いっぱいに持っててもさ。
車に置いておけるから試合手ぶらで見れるんだよね・・・。

車の”ロッカーとしての機能”がいかんなく発揮されるわけですよ。


それからシャトルバスの写真あったでしょう?イオンと夢スタ歩けば5分程度の距離ですらシャトル出てるんですよ。
夢スタはイオンより一段高い丘にありますから坂があるんですが、これなら子供連れもお年寄りも安心して行き来できることでしょう。当然、夢スタ内のフットボールパークから抜け出してイオンで遊んで、シャトルに乗って夢スタに戻って再入場とか自由自在。
まるでイオンの中から敷地内にあるテーマパークにいくためのシャトルみたいに思えてきます。


satoru.jpg


利便性エグいわぁ・・・・。





俺はサッカー見に来て靴下買ってなにをしてるんだろうと思いましたがね。
まんまと、まんまとサッカーついでに買い物して日用品なんか買っちゃってさ。格好の”おきゃくさん”になっちゃってさ。
この複合型スタジアム的な仕組みに手玉に取られたみたいに思えてきてさ。もうなんか心地よい悔しさすら覚えましたよ。

ちなみに早めの夕食もイオンのフードコートでお好み焼きを食べながら生をぐびっと。
そのころには吹っ切れて上等だ!”おきゃくさん”になってやるよ!くらいの感じでした笑
この日運転手じゃなくてよかった笑



夢スタに戻ってみたもののKOが30分遅くなっていることもあって暇を持て余してしまいました。時間つぶす手段も別になかったので、車でしばらく休憩することに。外はかなりの雨でしたし、テントでじーっと待っておくのは体力的につらいものがありました。確かまだ2時間くらい待ち時間があったと思います。「足元ぐちゃぐちゃでなかったら映画でも見たのになぁ」なんて思いながら休んでいたら寝ちゃった。
起きたら雨はすっかり上がって、試合は後半が始まるところでした。




もう・・・車最強じゃないですか。ぐうの音も出ないよ便利すぎて。
買い物をしてもロッカー代わりになるし、雨風はしのげる、TVも見れる、エアコンは効くし、休むこともできる。
車から出て駐車場を抜けたらもうスタジアムですよ。
台風のコンディションだったからというのはかなりあったとは思いますが、車がとにかく大活躍でした。






そう車。FC今治のキーは車じゃないかと思いました。







◎車での来場に強い夢スタとその原動力






冒頭でお話したとおり、FC今治の夢スタは今治新都市にありますがここはしまなみ海道の威力を高めるために整備されてきたという土地柄でした。ということで、もともと車で来ることが想定されている土地なんですねここは。もちろん今治の人がメインですが、よその地域からも車で来やすいと思うんですね。愛媛のほかのエリアや県外からも。
それこそイオンが建ってるってそういうことじゃないですか。



そうした土地柄に加えて、FC今治のホームゲームにおいて車での来場のしやすさを支えているのが、
何と言っても駐車場の広さであります。これはうらやましい。



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800台に臨時駐車場がさらに400台、800台。合計2000台ですよ。J3規格のスタジアムで。
ちなみに岡山のホームCスタは運動公園内の駐車場の合計が400台に届きません。街中のスタジアムなのでしゃーないんですが、ウチのみならず駐車場問題で頭を悩ませるところは少なくない。将来的に15000人の新スタが建った時はわかりませんが、どう考えても夢スタの5000人規模の集客であれば十分に対応できるだけの駐車場がある。しかも、場合によってはもう少し駐車場として活用できるエリアがあるということでした。とにかく、車で来て停めれないなんてことはここではありえないでしょう。これは強いなぁ・・!


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豊富な駐車場。ここからイオンも夢スタも歩いてすぐ。



ちょっとここでまとめておきましょう。


FC今治のホーム夢スタは、
ICが間近で車で遠方からも来やすい今治新都市にあり、
また来場者を受け入れる十分な駐車場がある
ということです。





◎ホームタウンを飛び出して広く人を呼ぶ今治の集客ビジョン





普通地方クラブってのは集客を考えるとき、ホームタウン第一主義なんですよ。
例えばファジアーノ岡山でいくと、まずもって集客のメインターゲットになるのは岡山市71万人を中心とした岡山県190万人であります。広島県とか香川県とか兵庫県とか後回しですよもちろん。そもそもホームタウンに必死に呼びかけてなんとか1万人をこえるかどうかですからね。他所がどうとか言ってる場合じゃないという。
どこもそうだと思いますが、まずは地元、ホームタウンの人に試合に来てもらうことが第一です。



これをふまえて再び岡田オーナーの発言を読んでみると実に興味深い。
日経新聞に掲載されたものからちょっと引用してみましょう。


”「人口16万人の今治市で毎試合、1万5千人のスタジアムを満員にできるのかどうか。東予の四国中央市、新居浜市、西条市を巻き込んでも人口は50万人弱程度。瀬戸内海を挟んで対岸の尾道市や三原市からも見にきてもらうくらいの戦略を立てないとコンスタントに満員にできないのではないかと心配している。」”



先々15000人のスタジアムができたとして今治市の人だけで満員にするには、ほぼほぼ10人に1人のひとをスタジアムに呼ばなければならない。これは難しいです。J2においては集客力のある岡山ですら、190人に一人が来るかどうかですからね。
そこで、瀬戸内海の向こう側、尾道、福山、三原まで集客ターゲットにするというのはまさしくしまなみ海道があればこそ持てる考えですが、自分たちの限界と立地をしっかりと見据えているなと感じます。これは実に面白い。
ホームタウンの枠組みを越えて他県から人を呼ぼうという発想自体が地方クラブにはあまりないですから。



今治の対岸の山陽地方はまず尾道市、そしてその両隣に三原市福山市とあります。
広島にサンフレッチェ広島があり、岡山にはファジアーノ岡山がある。
その中間のどちらからも距離のあるアプローチしにくいエリアには全国リーグを戦う知名度のあるクラブがいません。
ここにFC今治が手を伸ばすと、サンフレでもないファジでもないより身近な選択肢として存在感をアピールできる可能性は高い。



中間



なにやら国盗り合戦的なことになってきますが、
すでにFC今治は福山市や尾道市でホームゲームを開催した実績があります。
そしてスクールまでやって存在をアピールしてきた経緯がある。

ホームタウンの人口の少なさを逆手にとって外へアピールしていく戦略は一見の価値ありではないかと思うのであります。
この夏、尾道で行われたFC今治のホームゲームを見に行きましたが、尾道のサッカー少年が結構来ていましたからね。「サンフレでもファジでもなく、FC今治というクラブもあるんだなぁ」と彼らの中でも認知されたんじゃないかと思います。
FC今治は”水軍の末裔が世界に向かって大海原に打って出る”というコンセプトを掲げていますが、あたかも瀬戸内海に打って出て、対岸の中国地方に橋頭保を得んとするようなアプローチではありませんか。
先述のとおり、今治の外から、しまなみ海道の向こう側から、車で来場する人を迎えるインフラはすでにあるわけです。
こう考えてみると実現性の低い話でもなさそうだなと感じるんですよね。






◎FC今治のこれからと夢スタで感じた”はじまり”の雰囲気





いやーめっちゃ長くなったな!笑
あれもこれもと言っていたらこんなになってしまった。
こんな長話にお付き合いいただきありがとうございます!
まだまだ語りたいこともあるんですが、これで最後の話としましょう。





ここまで初今治、初夢スタで感じたことをまとめてきました。
率直に言ってFC今治のポテンシャルかなりあるなぁ・・・!と。お話してきた通りです。


しかし、これから先の壮大なビジョンは素晴らしいけれど、まだ青写真でしかありません。
きっと理想空想妄想を現実に変えていくにあたっては相当な苦労があるでしょうし、実現不可能なことも少なくないだろうと思います。まだスタジアムが稼動して日が浅いですし粗削りな素材感が出ているところも見受けられますが、有料の興行ですからね。お商売なので、素材はしっかりと商品レベルまで磨き上げないといけません。
そして、今年のJ3昇格はなりませんでした。
自分もファジアーノ岡山ネクストで何試合も見てきましたが、JFLはなかなかに厳しいリーグですよ。
クラブはなるべく早くと思っていたかもしれませんが、そうやすやすと通過できるものでもない。
また競技成績のみならず、足元である今治の人へさらにアピールもしていかないといけない。
いろいろと課題はありそうです。
しかし・・・・




試合前お客さんが外へ出かけるかどうか決める時間帯に、台風の雨と風ですよ。
そしてその影響で劇団EXILEのメンバー来場という集客の目玉もなくなったわけです。
試合開始2時間前には、正直1000人もいかないんじゃないの?と思っていました。ところが・・・



2219



2219名。
この数字は全然想像できませんでした。
天気が回復したからというのもあるでしょうがこの数字はほんとすごい。
この悪条件で出た数字ならば、”本物の数字”じゃないでしょうか。





あいさつ



昇格がなくなった試合であるにもかかわらず試合後の夢スタには不思議なあたたかさがありました。
自力での昇格がなくなっていたからというのもあったでしょうが、声を荒げる人もいませんでしたし。
まあある意味「しゃーないか」と切り替えやすい試合だったのかもしれません。
でもねえ・・・結果のわりには笑顔の人が多かったなぁ・・・という印象が残ってるんですよねえ。
FC今治サポの友人とゴール裏で談笑していたんですが、
「こんなに若い人がひとつのところにあつまるところ見たことないですよ。
みんなこれまでいったいどこにいたんだってくらいに」

と語っていたのが忘れられないひとことでした。
片づけが進むピッチと、帰り支度のスタンド、どちらも和気あいあいとした雰囲気で。子供が走り回っていたりね。
「今治におもしろい場所ができたなあ」という感触を確かめているかのように。



「また来年きますね」と今治サポの友人にあいさつして夢スタの階段をおりながら、
なんかすごく”ここからはじまるんだ”って感じがするなあと思ってねえ・・・・。
もしかしたらそういう瞬間に立ち会ったのかもしれない。
そんなことを思いながらスタジアムを後に。とても楽しいFC今治探訪でした。
以上報告終わり!




あ、岡田メソッドのネタ完全に忘れてた・・・・ま、いいか。試合も後半しか見れてないし。
岡田メソッドネタ以外にこんなに書けてしまうとは思いもよらなかったな・・・・笑




最後まで読んでくださって本当にありがとうございます!



おわり



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